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Part2~動画全編こだわり解説~源平ミステリーロマン小説シーンを動画にしてYouTubeへアップしてみた

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約 9 分

巴御前

この記事は、以下のPart1の続きとなります。

Part1~こだわり動画制作の秘密~源平ミステリーロマン小説シーンを動画にしてYouTubeへアップしてみた


「君の名残を」動画チャンネルは全部で6個のシーンに分かれています。
ここでは、その各々のシーンと製作者のこだわりをご紹介します。


シーン1【其の一 序】出会い~友恵:巴御前と駒王丸:木曽義仲


あらすじシーン1
剣道部での練習の帰り道。土砂降りの雨の中、友恵は
傘を持ってきた幼馴染みの武蔵と一緒に社のある大木で
雨宿りをするが・・・

そこに突然の赤い稲光

目が覚めたらそこは知らない世界だった。
800年以上前、そこは「龍神の淵」と呼ばれていた。

友恵はここで、駒王丸(木曽義仲の幼名)と出会う。
駒王丸は願をかけ、この淵に通っており
そこで異形の姿の友恵を見つけたのだ。

友恵は、「ともえ」と呼ばれこれが後の「巴」に
つながっていきます。。。

こだわりシーン1
シーン1だけではなく全編に共通してこだわったのが
オープニングの映像と音楽です。

そこには、巴御前、木曽義仲、武蔵坊弁慶の3人が並んでいます。
彼らのキャラクタデザインを決めるまでが長かったです。
また3人の背景に薄く表示される画像は、
龍神の淵、五条大橋、義仲寺とそれぞれこの物語に
つながる場所を選びました。

シーン1に関してのこだわりは、友恵がタイムスリップ直後に
目覚める場所での水の透明感、そして
ここはどこ?わたしは誰?っていう感じで目覚める友恵の
情感をどう表現するかということでした。



シーン2【其の二 粟津】~その男と戦っては駄目(源義経VS木曽義仲)


あらすじシーン2
実はシーン2は、文庫本では下巻も半ば進んだところにきて、
シーン1とはかなり物語の進行時間に間隔があります。

シーン1とシーン2の間には、平家物語の主だった人物や戦い
が続々と続きます。
武蔵は同じ時代の別の場所にタイムスリップし、
過酷な人生を生きていきます。
平清盛、源義経、源頼朝、冷泉局、を始めとして、
「火牛の計」として知られる倶利伽羅(くりから)の戦い
源氏方として、巴御前を連れ添った木曽義仲が
平家を攻め滅ぼすまで、その物語は圧巻です。

正直なところ、本書によって平家物語にものすごく
関心を抱き、関連書を調べまくったほどです。

平家を京から追い出した義仲に今度は、
頼朝の命により義経が襲い、そして雪の中
馬の脚がぬかるみにとられた義仲を
とうとう追い詰めたところからシーン2は始まります。

巴は、この場面を平成で習った教科書で知っているのです。

「七騎がうちまでも、巴は討たれざりけり・・・」


つまり自分は生き残っても、愛する義仲はそうではない・・・

その矛盾と葛藤に悩まされてきた巴は、絶対に守ると決めて
いたにもかかわらず、まさに習った歴史どおりに事が進もうと
するのを目の前に。

・・・しかし歴史は修正を許しませんでした。

義仲の亡骸から遺髪を切り取った巴は、義仲に
果し合いを挑みますが、そこに武蔵が割り込んできます。

武蔵はすでに義経の家来として、武蔵坊弁慶として
世に名前を馳せていました。
800年の歴史を経て磨かれた武術を持つ武蔵は、
この当時にあって敵なしという強さでした。

武蔵は「巴」こそが「友恵」であることに気づいたのです。
止めに入った武蔵に、巴もそれが幼馴染みであることを
知りました。

茫然とする巴は、武蔵の声に応えず
そのまま雪原の中に消えていきます。

こだわりシーン2
・まず雪を舞台にした「場」の雰囲気です。
・そして、義経の絞る矢、矢じりの光の反射、
・それを見つめる義仲の思い。一瞬の間に巴との出会いから
 全てを走馬灯のように蘇ります。
・矢が突き抜け馬上から崩れる義仲を目の当たりにした巴の絶叫。
 ここはメロディとのタイミング合わせがポイントでした。
・髪を切り取る巴の指先。女性らしさ、愛する者への愛おしさを
 表現するため何度も修正した部分です。
・武蔵との邂逅・・・言葉には出来ない思いを剣の先に表現したいと
 考えました。


シーン3【其の三 琵琶湖畔】~遺髪と哀しみを文に(巴御前)


あらすじシーン3
生きるよすがを失った巴は、ひとり琵琶湖のほとり
で静かに暮らしていた。

毎夜、義仲の生母であり、見知らぬ世界からやってきた巴を
なにくれと世話してくれた桔梗へ宛てた文を取り出す。

文には義仲の遺髪も巻かれている。
文を開いては読みかえす巴。

思い出だけが後悔とともに蘇り
涙だけがあふれてくる。

こだわりシーン3
このシーンでは原作にある文言を一部抜粋し、
動画に出てくる文字を読んでもらうことを狙っています。

巴の心のなかをどのように表現するか、それにマッチした
メロディはどんなものか。
・・・こういった点が悩みどころでした。

文を右から左に流し、ロウソクの火とBGMのアリアで
巴の心中を表現してみました。


シーン4【其の四 時との約束】~何度でも生まれ変わり求め合う


あらすじシーン4
このシーンでは新たな人物が登場します。
「覚明」(かくみょう)と名乗る僧侶ですが、その由来は
省略し、「時の使い」だとご理解ください。

タイムスリップを誘った人物であり、歴史を司る「時」
そのものの手足となって死して後も存在している
いわば仕掛人であり黒子でもあるわけです。

こういった設定と描写がフィクションでありながら
物語に、より真実性を付加するという効果を感じます。

シーン4は、琵琶湖の庵から旅立った巴が、
自分の生まれ育った海に遭遇するところから始まります。

そして、覚明と再会。
覚明は、ずっと義仲と巴にとっての軍師だったですが
倶利伽羅の戦いの後で去っていきました。

覚明に巴は詰め寄ります。タイムスリップのことを
知っているはずだと思っていたからです。
そして、すべてを知ることになります。

覚明との会話は次第に、自分や武蔵をタイムスリップさせた
「時」自身とのとの会話に変わっていきます。

過酷な運命に耐え、歴史(時)を動かす役目を
果たした巴に「時」が約束します。

何度生まれ変わっても、その男と巡り合い求め合う
ように計らうと

そのまま気を失った巴は、目覚めたのち義仲の
復讐の旅に出かけるわけですが・・・
この時代に飛ばされる前に剣道部の親友だった「由紀」から
もらった御守を若木の下に埋めて出発します。

その御守はシーン1では、竹刀にぶら下がっています。

こだわりシーン4
「時」というとらえどころの無い神のような存在を
どのようにイメージしていくか、悩みに悩んで
宇宙とのつながり、そして荘厳で深みのあるメロディ
を重ねてみました。

わかりにくい動画かもしれません。
ピンポイントの表現なので伝えられませんが、
小説に出てくる登場人物は、時代を挟んで多重に
生まれ変わり、そして巡り合っていきます。

このシーンでは、人間を超越した存在と、
その存在からの計り知れない愛を表現したかったのですが
なかなか難しかったです。
御守はシーン1、シーン4、シーン6とつながる
キーワードアイテムです。

シーン5【其の五 平泉】~俺は死ぬのだな(武蔵坊弁慶の大往生)


あらすじシーン5
小説においては、義仲の復讐に向かった巴が義経と決戦し
念願を果たすのですが、その際に義経の家来である
武蔵坊弁慶が手を貸すことになります。

場所は平泉。ここの領主であった藤原泰衡に追われ
武蔵が巴を連れて逃げていくシーンとなります。

武蔵は深手を負った巴を逃がすため、立ち向かっていきます。

歴史上有名な、弁慶の立ち往生です。

矢ぶすまで絶命した武蔵の魂が、武蔵自身を見下ろし・・・
そして自分は誰であったのか、この瞬間すべてを思い出します。

平成の時代、友恵の幼馴染でボーイフレンドであった武蔵が
この時代、武蔵坊弁慶であったわけですが、
実は武蔵坊弁慶その人が木曽義仲であるという
レトリックが小説のなかでは巧みに表現されています。

その武蔵の巴に対する想い、つまり義仲の巴への想いでも
あるわけですが、このシーン5は男の女に対する愛を
表現したものになります。

こだわりシーン5
逃げていき追いつめられていく状況での曲の選定が
まず悩みました。
そして武蔵=義仲であるという点をどのように
表現していくかに悩み、キャラクタをだぶらせた
ように演出してみようと考えました。


シーン6【其の六 結】~再生(友恵そして巴から友枝へ)


あらすじシーン6
小説においては「結」、いわゆるエピローグにあたる
シーンとなります。

平成時代、友恵の親友であった由紀が友恵の兄と
結婚し赤ちゃんが誕生します。

由紀はその赤ん坊に「友枝」と名付けます。
そしてふと思い出します。
友恵が消えた場所で、とてもとても古びた御守を見つけたのです。
そして驚きました。これは、自分が友恵にあげた御守ではないかと。
そんなはずはないけど確かにこれは自分があげたもの。

この御守ですが、シーン1で平安末期に竹刀とともに飛ばされ、
シーン4で巴が若木の下に埋めたものです。

その若木が成長し、平成には大木となって雨宿りの場所として
友恵と武蔵が行ったところでもあったわけです。


こだわりシーン6
友恵⇒巴⇒友枝となって生まれ変わり、そしてこの時代
きっと義仲とまた巡り合うという伏線を、赤ちゃんの泣き声、
由紀の語りかけ、御守といったもので表現したいと考えました。


あとがき

シーン1からシーン6まで、小説をご存じの方はああ、あそこかな
とお分かりになるかと思いますが、ご存じでない方にとっては
とてもわかりにくかったかと思います。

この点はPart1で述べましたように、
もともと依頼人への提供のみを第一義としておりましたので
ご容赦願います。

私はほかにもいくつか動画制作をしましたが、
この動画を含めすべてPart1で述べたような、
うるさい監督兼脚本家として制作したに過ぎません。

うるさいというこだわりこそがKENBO流だとご理解いただき、
実は難しいソフトを使えずとも、低予算で誰にでもできる
のだとお伝えしたかったのです。

どうやったら作れるのか?という答には不十分ながら
この記事がその一部にはなっていることを願っております。

また別の機会に、監督・脚本家として、さらに
無茶な要求にこたえてくれる破天荒な仕事人(デザイナー、エンジニア)
をどうやってみつけ交渉していくのか、
Part1でお伝えしたようにあらためてまとめ
ご紹介したいと思っております。

このツボ、コツがわかるとかなりご自身の表現手段に
自由度がプラスされることは間違いありませんので。


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