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日本人の「理念」とはなにかに迫るMomoka JapanのYouTubeが凄い~マーケッター必見!

2025年1月28日

この記事は2024年7月に投稿した以下の記事の続編となります。

Momoka Japan「外国人が日本食を食べて感動が止まらない」YouTubeがレベチのこれだけの理由 - インフォレビュー(INFOREVIEW)
Momoka Japan「外国人が日本食を食べて感動が止まらない」YouTubeがレベチのこれだけの理由 - インフォレビュー(INFOREVIEW)

外国人観光客に日本食をごちそうし感動を引き出すMomoka Japanのレベチの魅力を紹介

www.ifrv.net

Momoka Japanってなに?
星の数あるYouTubeチャネルでご紹介しているワケとか
前記記事をご覧いただければすぐにご理解いただけるはずです。

一言でいうと、
「外国人に日本食をご馳走しその反応を紹介しているYouTubeチャネル」
というものですが、この言い方では同種のチャネルはたくさん存在します。

前記記事にて私は、
Momoka Japanは成功するべくして成功している
と述べました。

この思いは最近、より深く実感しており、先の記事ではお話できていなかった
成功のワケをもう一段以上、深掘りしたいと思います。

Momokaさんがこのことを意識されているかどうかはわかりませんが、
成功するべく成功しているには、歴然とした理由がありそこを突き詰めていくと、
日本人の理念とはなにか?
にぶち当たることに気づきました。

日本食レポを通して日本人の心の琴線に触れる。
文化や生活習慣の異なる環境で育った外国人が、ある意味日本人以上に敏感に理解する。
僭越ながらその根底にあるものがなんなのかの解説を試みています。

あらかじめお伝えしておくと、私自身はMomoka Japanのすべての動画を視聴しており、
大抵はアップされる日から数日以内には必ず観ているほどのファンです。

疲れたときにぼんやり観る、から始まって今に続いており、とにかく効きます。
なにに効くのかというと、主には精神的なストレスが溜まってきたなと感じるとき
いつも心の癒しになる、という意味です。

その正体がなんなのか?
を探っていくと「日本人のあるのかないのかわからない理念」なるものへ繋がっていきました。

だから、必然的に成功するんだな~と思い至った次第ですが、
ネットやリアルでのビジネス全般に通じる、かなり普遍的なことに思い当たったのです。

Momoka JapanのYouTube構成のおさらいとウリ

シンプルでワンパターンが実はGOODな流れ

Momoka Japanの動画について、私はすべてのアップされた動画を視聴しており、
年月を経ることに動画も巧みになっていることは当然として、
全ての動画にある共通項が存在することに気づいています。

Momoka Japanの動画はおおむねこのような流れです。

  1. Momokaさんが本日登場する「外国人」(カップルや2,3人のグループが多い)と挨拶。
    Momokaさんが自分で見つけ、交渉しOKとなった外国人です。
    動画のスタートはここからで軽く挨拶して
    「あなたの知らない日本食を紹介するよ!(・・・・you have never tried before!)」
    という元気のいい決まり文句で始まります。
  2. 本日のお店(多くは少し高級、だけど庶民にとっても馴染む居酒屋になります)へレッツゴー!
  3. あらためての挨拶のあとは普通に何を飲む?から始まります。
    ビールや少し甘いお酒として梅酒(Momokaさんも好きなようです)もお勧めしたり、
    飲酒年齢に達していない場合は、日本でしか味わえない濃厚な桃やマンゴージュースなども。
  4. 突き出しから始まり、ここからが動画の一番面白い部分になります。ここではあえて省略します。
    小難しい説明ではなく、一本でもご覧になれば何が面白いかも瞬間的にわかりますよ!
  5. 最後にデザートか、締めのごはんを経て締めくくり

この構成は実にシンプルでわかりやすく、パターンにブレがありません。
ひとつの動画に安定して100万回前後のアクセスを集め、
視聴者は毎回の動画アップを楽しみにしている常連ファンが多いことがわかります。

さらに言うと動画は、ワンパターンです。
ただこれは誉め言葉です。

なぜワンパターンでよいのか?
という理由は明白ですがこの後お話します。

そして動画の尺が20分~25分程度に見事におさまっています。
もちろん編集してあるからですが、重要なことはどの動画もお決まりのように
それ以上に異常に長いものの異常に短いものも無いということです。

この点は実は重要です。
同種コンテンツで成り立つ動画チャネルにおいて、だいたいこれくらいの時間
ということがわかると最初から安心して視聴できるものです。

出演者も視聴者も幸せを感じる「起承転結」

さて先ほど申した「ワンパターン」に見えるこの動画ですが、核にあたる部分は、
日本に旅に来た外国人が出された日本食をどのように感じているか
を生のまま紹介している点にあります。

登場する外国人ひとりひとりの受け止め方は、当然ながらそれぞれバラバラですが
日本食に感動し、日本に滞在していることを心から楽しんでいる様子がわかります。

その表現方法は個人ごとに違うのは当たり前。
そこに新鮮さ、面白さ、親しみをほとんどの日本人が感じるはずです。

動画全体の流れ、シナリオは概ね決まっていてそこはワンパターンながら、
出演者(外国人)の表情、コメント、Momokaさんとの会話
という核の部分だけは毎回異なっています。

そこが面白く感じられるのは、シナリオ全体がワンパターンで括られているため
外国人の食レポ部分が際だってくるからに他なりません。

ストーリーの重要性は集客や販売において古くから指摘されてきました。
動画であれ、LPであれ起承転結が明確なほど
視聴者・訪問者にとってもわかりやすく、受け止めやすいものです。

Momoka Japanの動画は起承転結がはっきりしています。
きちんとわかりやすいストーリーがあって、その流れ自体は共通しているのです。
逆に言うと、外国人の食レポをテーマにする他チャンネルでは
この起承転結があやふやでダラダラ続くものが多いというのが私の実感です。

特に重要なのは「転」
Momoka Japanの流れとして先に説明した①~➄のうち、④が「転」に該当します。

これが面白いから個々の作品全てが、ワンパターンではなく
別々のものとして楽しめるのですね。

Momoka Japanではこの「転」がすごく秀逸です。
意訳もうまいし、心遣いもよくわかるし、それだけではなく
嫌味が全く無い
という点で、心がささくれたような状態でもジワジワと癒してくれるのです。

意訳については、和訳が正確じゃないと批判する人もいるようですが完全に的外れ。
対面でのコミュニケーションは言語だけではなく表情やジェスチャー、雰囲気など
言葉以外のものが左右します。
そこをうま~く、Momokaさん固有の関西弁で表現している点もGOOD!!!

むしろそこにこそMomokaさんの個性と人となりが伺えて、
尚且つ勉強もできている気分で楽しめます。

NHKスペシャル「新ジャポニズム」でわかる漫画・アニメのインパクト

さぁ、やっとこの記事の本題に近づいてきました。

Momoka Japanに登場する外国人には、
日本に来たばかりの人、数日たっている人、1ヶ月くらい旅をしている人、翌日帰国の人
実にさまざまですが、動画を視聴しているうちにあることに気づきました。

それは、なぜ日本に?
なぜ日本を選んでここに来てくれたのか?
というそもそもの理由に関するものです。

日本への期待のひとつはもちろん『食』に関するものです。

ですが、それ以前に例えば
子供のころからずっと日本に行きたいと思っていた。
日本に行くことを憧れていた。

というようなことを自発的に話してくれます。

そこには、日本発の漫画やアニメが世界中で心を掴み、人々に愛されてきた
という背景があることを知り、且つ驚きました。
日本の漫画・アニメが海外で受け入れられヒットしているくらいのことは、
前々からニュースなどでも知っていても、生の声を聞くとやはり驚きました。

客観的にこの現象を紹介したNHK番組があります。
『NHKスペシャル 新ジャポニズム 第1集 MANGA わたしを解き放つ物語』
ナビゲーターは俳優の横浜流星さんです。

単品か見放題での有料コンテンツになりますが、実に見応えがありますよ。
因みにお正月休みに横浜流星さん主演の映画「正体」を観ましたが、とにかく素晴らしかったです。

NHKスペシャル 新ジャポニズム 第1集 MANGA わたしを解き放つ物語 - 動画配信
NHKスペシャル 新ジャポニズム 第1集 MANGA わたしを解き放つ物語 - 動画配信

月額990円(税込)でNHKの名作見放題!マンガ、音楽、食―今日本のカルチャーが世界で大きなうねりを起こしている。一体何が魅力なのか?その秘密に迫るシリーズ「新ジャポニズム」。第1集は「MANGA」。

www.nhk-ondemand.jp

あるようで無い、無いようである日本人の「理念」をMomoka Japanの外国人は気づいている

ちょうどジャーナリストの佐々木俊尚さんが、このNHK番組を評されているのを知り、
とてもわかりやすく説明されていて、引用OKということなのでご紹介します。
(太字はKENBOによるものです)

この中で私が注目したのは、ジンバブエで日本風の漫画を書いている男性が「ONE PIECE」の大ファンだと語るシーン。彼はこう話すのです。

「アメリカは個人個人個人。でもワンピースの日本は、小さなコミュニティの集まりだと思う」

またアメリカの日本文化研究者として有名なスーザン・ネイピアさんも登場し、こういう趣旨のことを語られています。

「いまはあらゆるところに苛立ち、脅威があり、絶望的な世界。『末永く幸せに暮らしました』的な物語を描くハリウッドモデルを信用できなくなっている。そういう中で、日本のカルチャーへの関心が高まっているのだと思う。日本の漫画やアニメは、より深く心情や内面を描いている。英雄ではなく、親近感がありリアリティがあり、共感できる主人公が登場する」

わかりやすい英雄崇拝ではなく、共同体的な感覚を大事にしているというのは日本の漫画・アニメ文化の特徴のひとつになっています。

この背景には、ひとりの英雄の活躍ではなく、たくさんの職人たちで支えていくという運用的な視点を大事にする日本社会の特徴も背景にあるのかもしれません。

佐々木俊尚さんの指摘に出てくる
日本のこのような「仲間意識」的な共同体感覚
とは一体なんなんでしょうか?

佐々木さんのコメントを続いてご紹介します。

この問題については、近代に入ってから幾多の思想家や文学者が挑んできたテーマでもあります。
しかし百年以上の月日を経て、誰も日本の普遍的な理念など発見できませんでした。
そのかわりに指摘されてきたのは
「日本人を縛っているものは理念ではなく、世間」
「お天道様が見てるぞ、的な価値観が日本人の基調にある」
「日本人の行動を決めているのは空気」

といった言説です。

結局は「世間」「お天道様」「空気」などという漠然とふんわりとしたものが日本人の行動を律しているのあり、そこには言語化できるような理念は存在しないということなのでしょう。

なるほどなぁ~言われてみるとそうかも。

考えてみると私たち日本人にとって何気に行動していることが他国の人から見ると
驚き(Amazing!)になっています。

  • エスカレーターは隣を空けて乗る
  • 電車やバスでもきちんと列を作って並んで待つ
  • 電車やバスも降りる人が優先
  • ゴミ箱がなければむやみやたらとそこらに捨てない
  • 公衆トイレの使い方も何が常識かわかる
  • 公衆トイレでさえ海外ではあり得ないウォシュレットがあり清潔に保たれている
  • 夜、女性一人が歩いていても危険ではない
  • 困っている障がい者や外国人を見たら助ける

この中で最後の『困っている障がい者』については、
つい先日、私が大手町(東京)で遭遇した話なので思いを込めています。

平日の朝早く、大手町駅に隣接するビル内で目の不自由な、杖をつきながら歩いている女性が
迷子になったように立ち止まりうろたえている様子を目撃しました。

私は少し離れているところで見かけて、なにか手助けできないかどうしたらいいかためらっていたところ、
女性の近くに出勤途上の若い男性がサッと駆け寄り『お困りですか?』と声をかけたのです。
すると、女性の表情にホッとしたものが浮かんだのも見えました。

このシーンだけで、朝一番で正直グッと胸が熱くなりその女性と男性にとって、
今日一日が良い日になることを心の中で祈ったものでした。

出勤中の男性はためらいがなかった。
私のようにおろおろ考えためらっているより早く、手を差し伸べていたことに
静かな感動とともに自責の念も感じました。

日本は捨てたものではない、なんだかんだ物騒な事件もあるが
総じて私たちは良い国に住んでいる、つくづくそう実感しました。

話を戻して日本の漫画・アニメの中ではこういった「仲間意識」的な共同体感覚が
随所に、日本人にとっては違和感なく表現されています。

また日本で普通に家庭や居酒屋で出てくる料理が登場する。
箸と茶碗をもっておいしいごはんをかきこむ場面も出てくる。

なんだか見たことも無い知らない料理だがおいしそうに食ってるなぁ~
という印象が記憶に残る。

そのようなさまざまなソフトコンテンツが外国人に子供のころから消費されています。

自分たちの文化には存在しない不思議なことが漫画・アニメではいっぱいで、
だんだんと興味が募り、なんなんだ日本は?というように関心が高まります。

佐々木俊尚さんはこの日本文化をこう締めくくります。

現代日本社会の独特の生活文化があるのは間違いありません。
それはひとことで言えば「秩序意識」というようなものでしょう。

いやぁ、まさにそうだと膝を打ちました!

これは言葉を介さずとも通じる、ノンバーバルな価値観です。
思うに、Momoka Japanに登場する外国人はこの日本固有の『秩序意識』を
敏感に感じ取っているに違いありません。

日本固有の秩序意識を感じているだけではなく、そこに安心、やすらぎ、居心地の良さがあり、だからこそ
帰りたくない!
すぐ日本に戻ってきたい!
日本にこのまま住みたい!
といった表現に繋がっていくのかもしれません。

こういった外国人が日本の良さをMomoka Japanでアピールします。
お仕着せではなく、素人出演者が自ら日本への思いや憧れを語ります。
日本に実際に来て感動した数々のことを、自分の言葉で熱っぽく話してくれます。

これを見て気分を害する日本人はひとりもいないでしょう。
視聴する日本人なら誰でも嬉しくなり、誇りに思うはずです。

こうなったら成功すべく成功するに決まってますよね。

最後にせっかくなのでイギリスから来た2人の女性登場の動画をご覧ください。
こちらは2025年1月の動画になります。
『気絶するくらい』美味しい話ですが、この動画に限らずMomokaさんの心遣いもわかります。

お皿に運ばれてきた日本食を、Momokaさんがそれぞれ盛り付け渡していますが、
そのちょっとしたところにも細やかな気遣いが伺えます。
一見見過ごしそうなところながら、この気遣いがホントに素敵です。

神は細部に宿る、というのはこういうことですね。