BLOG 日記

【保存版】定年前後の転職希望者が陥りやすい罠と採用されるための秘訣

2025年3月14日

長くお付き合いいただいている私のメルマガ読者様の平均年齢層も高くなり、
50代~60代の方が多くなるにつれて、再就職に向けたご相談を時々受けております。

なぜ再就職相談なのかというと、メルマガ内で私が今やっている仕事のうち
『採用面接官』という役割のことをたまにお話していることがきっかけです。

私はもともとがエンジニアで、今も某企業でAIを中心としたシステム開発にどっぷり
関わりつつ、他の会社では人事担当者とともに採用面接官の仕事も対応しています。

副業というより『複業』であり、ネットでの活動もそのひとつになります。

因みにこの『複業』経験から、何か仕事に就いてそこからネットでも何かやってみたい方へは
リスク分散と複数の収入源をもつ意味で「ポートフォリオ化」を強くお勧めしていますが、
この話はまた別に詳しくお話したいと思います。

採用面接官というのはもともと畑違いでしたが、どういう因果か
どっぷりともう5年以上、週に2,3名の中途や新卒入り混じり対応しています。

特に中高年世代で会社のリストラ計画に手を挙げて、退職金などの上乗せなどの条件で
退職され新天地を求める方々ともかれこれ合計450名近く面接しております。

コロナ禍以降は、オンライン面接が普通になりその分
面接自体の回転数が必然的に増えている状況です。

長いことこの仕事をやっていると、面接の最初の数分間で
見込み有りか、見込み無しかが肌感覚でわかってくるものです。

そこでこの記事では、中高年の転職希望者が面接で落とされる理由と
採用されるためのコツについて一面接官の立場からお伝えしたいと思います。

社内外のたくさんの採用面接官とも話をしてきた結果、
こういうことだろうなぁという私見になりますが、
この記事をご覧いただいているあなたが該当者なら多少でも参考になるかもしれません。

中高年で転職するための面接位置づけ

一応ここでは先ほど述べたような定年前後でのリストラ計画(企業側は別の表現を使うはずです)に
手を挙げた方を一例としてお話したいと思います。

さぁとりあえず退職金も入ったしこれから新たな出発だ、
ゆっくり自分のやりたい仕事を見つけ、
満足できる条件でできる仕事を探すか、
と多少ゆとりをもって意気揚々としている方を想定してみます。

因みにこういう話をするとビックリされるかもしれませんが
昨今は、売上数千億~数兆円の大企業の子会社(売上数十億~数百億)
の社長、役員であっても親会社から『後は自力で見つけてね!』
と放り出されるケースを非常に多く見ております。

こういう企業の社長、役員の方々は再雇用65歳までとあっても、
よくあるのが60歳定年で一旦区切りをつけるよう迫られるようです。

ここで中途採用面接となにか?
をあらためて定義すると募集側と応募側との要求のすり合わせだとも言えます。
すり合わせしてお互いうまくいきそうかどうかのマッチングの場でもあります。

ざくっと図に描いてみるとこんな感じですね。

転職希望者であるあなたは、もしかするとこれまでのオレのやってきたことからすると
転職なんてチョロいものさ!と思っているかもしれません。

ただし、転職希望者であるあなたがもともと大手企業に勤めていたとして、
これから先はほぼ100%近い確率で、転職先は中小企業になるはずです。

そのことを自覚しつつ、だからこそチョロいものだと思われるかもしれません。

しかし、現実はそんなに甘くありません。
私が採用面接官として仕事している会社は社員約500名の一般的な中小企業に属します。
人手不足が深刻なのはどこも同じですが、それでも結構な確率で不採用にしています。

こちらのヤフーニュース(↓)はいつリンク切れになるかわかりませんが、
今の状況を如実に示しており、さっと読めますので是非お勧めです。

ほんと、バカなことをしたもんだ…「退職金2,400万円」新天地を求めて大企業を定年退職した60歳サラリーマン、客からどんなに罵倒されても「居酒屋バイト」を続けるしかないワケ(THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン)) - Yahoo!ニュース
ほんと、バカなことをしたもんだ…「退職金2,400万円」新天地を求めて大企業を定年退職した60歳サラリーマン、客からどんなに罵倒されても「居酒屋バイト」を続けるしかないワケ(THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン)) - Yahoo!ニュース

定年後、継続して働ける環境が整いつつあるものの、誰もがそれまでの経験やスキルを活かせる仕事ができるわけではありません。なかには新天地に転職という選択をする人もいるでしょう。しかし、現実はかなり厳しい

approach.yahoo.co.jp

現実は甘くない、なぜチョロいと思っていたのがそうではないのか?
この点をしっかり理解して、面接に臨むことが採用されるための大前提となります。

過去の職場での常識と成功体験が邪魔をする

定年年齢前後での退職となれば、社会人としての経験も熟しており
どなたも酸いも辛いも知っている世代のはずです。

それとともにこれまで培ってきた仕事を通じたノウハウも蓄積され、
成功体験もあり、それなりに相当な自負や自信があるはずです。

ところがこういった自信はいとも簡単に壊されてしまいます。
なぜならあなたのこれまで知っていた組織における
常識がそのままでは通じないためです。

これまでいた組織での常識とは、仕事の進め方、環境、文化などさまざまなもので
当たり前過ぎて、なんとなくそうあるのが当然と刷り込まれているため
その組織の外では通じないことがわからないものなのです。

面接では双方とも気づかないで「うっかり」採用してしまうこともありますが、
その職場に入ってから本人は過去の常識との違いを知るハメになり、
結局は双方ともWinWinの関係に至らず、という結果になりがちです。

行く先は中小企業です。
数名、数十人の企業もあれば1000人超えでも中小企業はざらにあります。

これまで常識と思っていたことは別の中小企業に就職すると
実はこれまでの組織内だけで通用していたことが多くあることに気づくはずです。

例えばこんな思い込みがうかがえます。

  • 自分の仕事の領域を超えて手を広げるのはよくないはずだ
  • 顧客管理や案件情報管理は一元化されているはずだ
  • この手の情報のやりとりはセキュリティ仕組みでしっかりガードされるべきだ
  • なぜこんな効率悪いことに人手を割いているのだろうか、自動化されていてしかるべきだ
  • 外からの電話に対応するのは総務や営業であって自分ではない
    (総務や営業での応募以外のケースでよく見受けられます)

こんな例は数え切れないほどあります。

いずれにしてもこれまで所属していた組織にあっては「当たり前」
と思っていたことがそうではないことに気づかされるのです。

さて、ここまで書いた常識が通じないという例は実のところ、
その会社なり団体なりに入って初めてわかることですが
あえてここでその例を出したのは理由があるのです。

それは面接時点で、応募者の常識がどんな範囲なのか
ということが面接官の立場では読み取れるからです。

どういうことかと言うと、どんな仕事をしたいのか?
という問いひとつについても、過去の経歴、実績に自信のある人ほど
どうしても上から目線で、しかも具体性に欠けるということが
会話の中でしみ出てくるのです。

また中途採用面接では、多くの企業で共通する質問内容として、
応募者にとってこれ以下では無理という最低年収
を率直に聞くことがよくあります。

採用の最終段階で揉めるよりハッキリしておいたほうが時間の無駄も排除できますしね。

ここで応募者から求人募集内で記載している給与や年収の目安と
まったくかけ離れた数字をたまに聞くこともあります。

大手企業の系列子会社での社長、役員経験者からは特に多いですね。

こういう時ハッキリ言うと、
世間相場
というものを把握できていないのだな、と感じます。

一例として東証一部の大企業でも定年後の再雇用では、それまで年収で1000万円くらい
の部長であったとしても再雇用では正社員ではなく契約社員となり
月収は30万円かそこら(年収で360万円程度)に固定化されてしまうものです。

こんなんじゃやってられないと転職を目指しても、
再雇用年齢ではどこの企業でも似たり寄ったり。

そもそもこれまでの活躍に対して応募側が契約金額を決めるのではなく、
過去のなにがしかを活かしこれからの期待に向けて、これでいかがでしょうか?
というのが原則です。

系列子会社での社長、役員経験者からの発言では、たまに
「いやぁ、最低1000万円はいただかないと。。。」
と聞いた段階で不採用決定となりますが、本人は自覚できていません。

採用後にその会社でパフォーマンスを発揮し誰もが納得する実績を出してから
聞く数字としてはありだと思っても、採用前はあくまで可能性を
募集側も吟味しているに過ぎません。

よってこれも常識ハズレ、の例になるのです。

募集企業/団体が求めていること、気にすることとは

もともと募集側は、所定のニーズ有りきが前提で募集活動を行っています。
ニーズ有りきでしかも中途採用は即戦力を求めています。

これまでの経歴がいかに華やかで凄いものであっても、
実は募集側からするとそんなことはどうでもよいのです。

ここを勘違いしている人が非常に多いです。

募集側が知りたいのは、

これまでの経験、知見、人脈などもろもろを活かして
応募側の組織で具体的にどんな活躍をしてくれるのか?

という一点になるのです。

えっ?

具体的に?って言われたってそんなことその組織に入らないと
わからないし言えないし。。。

となったらそこで終わります。

過去の栄光は、この際一切忘れましょう。
募集側はそんな話を聞いてるふりをしても実はどうでもよいと思っています。

募集側が気にかけることの一例ですが;

  • 過去ではなく、未来にあたる募集側組織内でどんなふうに役立ってくれるのか?
    (今までのことはどうでもよいので自社のニーズに対してマッチしているかどうか?
     どの程度の貢献が見込めるか?さらに広げてこの先どんな場面で活躍期待できそうか?)
  • 職場、顧客、さまざまな関係者とそれぞれ良い人間関係を築けそうか?
  • 考え方が「硬直」しておらず「柔軟性」は十分か?
  • これまでの人脈・経験などをフル活用して、新しいビジネスチャンスを生んでくれそうか?

こういったことを念頭に置いて面接しています。

なんにせよ募集側は、その組織の事業拡大、発展のために募集しているわけであり
そこにどれだけ貢献できるかを具体的に把握したいわけです。

この中で、考え方が硬直してなく柔軟かどうか?という点も中高年の採用では特に重要。
これこそ自分の過去の常識を自ら壊し、新しい職場でいかに柔軟に振舞えるかどうか?
という視点であり、定年前後まで特に同一組織に長くいた人にとっては難関かもしれません。

しかし募集側はその柔軟性を面接で巧みにみています。
これまでの常識を振りかざして、自分はこうだ!という仕事ぶりでは
職場での反感を買う可能性も出てきます。

経歴書や面接時に何をどうアピールしたらよいか

経歴書のフォーマット自体はリクルートなり、紹介会社が用意しているものを
定番として素直に従えば問題ないと思います。

ただし、一度経歴書を作ったあとでそのままを複数の応募先へ出すのはNGです。

カスタマイズしないと、募集側からするとボーっとした経歴書になります。

募集側がどんな仕事をして欲しいのか?を求人票なりに記載しているはずですので、
手がかりはその求人票内容と募集企業/団体のHPなどネットでかなり集められる情報が頼りです。

ここから先はアドバイスになります。

求人票やHPなどをじっくり見て、思い切り
想像力
を働かせましょう!

そしてできるだけ具体的なイメージを作るのです。
正解かどうかはわからずとも問題ありません。

具体的なイメージとはどんなことかを例で示すと;

  • 募集側のニーズで困っていること、解決したいことはなにか?
  • 自分がその困り事を解決する場に立つならどんなことがどんなふうにできそうか?
  • そう主張できる根拠はなにか?(=これが経験、スキルに該当)
  • 目の前のニーズのさらに奥深くに募集側が求めていることはなにか?
    (例えばその企業にとって具体的な成長戦略とその実現方法とか)
  • その求めていることを仮定し、自分がどのように貢献できそうか?

こういったことを自信と根拠をもって話せるなら、採用確度は自然とアップします。

どのような企業にとっても、売上アップや利益拡大は存在目的にもなりますので
実際の困り事をしっかり言い当てて、その解決にいかに貢献できるかを
簡潔に背景や根拠を含めて説明できるなら募集側にとって嬉しいに決まっています。

容易なことではありませんが、情報収集と想像力をもって
このレベルの会話ができるように頑張ってみましょう。

注意点としては、これまでいた組織の常識で話すのではなく、
募集側にとっての常識がどこらへんにあるのかも想像し、
面接の中でその加減を判断しながら対応することです。

常識の基準はあなたではなく、募集側にとってはどうかを
常に推し量る姿勢があればさほど難しいものではありません。

ということで、該当する方は是非とも謙虚に今の立場を捉えて転職活動されるようお勧めします。

なお、有料にはなりますが希望される方は、日時調整のうえ
模擬面接を1時間程度で対応することも可能ですので
ご興味あれば問合せフォームよりご連絡ください。

面接官が応募者に対してどんな質問をどんな順番で行うのか
概ね把握できて準備ができるメリットがあります。

さて最後にこの記事では、転職希望者が採用面接で失敗する原因と対策に触れておりますが、
一旦採用後に新しい組織ではなじめなく結果的にすぐまた辞めてしまう、
といった悲しい事実についてさらに突っ込んだ話を日をあらためてしたいと思います。