ChatGPTのAPI(Application Program Interface)を使った
AIアプリがわんさか世に出回ってきていますが、この記事では
世に広く浸透する可能性が高いオープンソース型LLM(大規模言語モデル)を使った
本物のAIアプリサンプルをご紹介しています。
この記事の一つ前に、AIによるコピペツールはどんどん新しいもので上書きされ
今巷に出回っているツールのほとんどが淘汰されるだろうという記事をアップしております。
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「AIコピペ」ツールを紹介しないワケ~生成AIの戦国時代を知ると分かる - インフォレビュー(INFOREVIEW)
AIコピペツールを紹介したり欲しがったりする愚を解説しています。生成AIをクローズドとオープン、そして推論エンジンであるGPUに対抗する動きからわかりやすく解説しています。
www.ifrv.net
その巷のAIコピペツールを圧倒する新しいアプリに相当するものを一つご紹介します。
まさしく上書きする新ツールとも言えますが、そのレベルが圧倒的です。
なおクローズドとオープンという話題を前記記事では説明していますが、
こちらは「オープン型」を活用した公開ツールと言えます。
(コードが公開されています。利用するには少しばかりプログラミングの知見が必要です)
このたび技術的に少し深く踏み込んで解説したいと思いますが、
ここで使っている用語の意味自体が何のことかわからない、という方が大半ではないかと考えており、
できるだけ全く知見の無い方にも通じるようにわかりやすさに努めました。
逆に現在、システムエンジニア的な仕事をされている方にはイージーだと思います。
すぐにこの優れたソースを「コピペ」して試してみてはいかがでしょうか。
GitHub(無償公開のプログラム共有サービス)をちょっと覗いてみる
これからご紹介する「紫式部インタビュー」は、オープンソースで公開されていますので
無償で個人、法人とも活用可能です。(但し活用のルールはあります)
で、公開されている場はどこ?
というのが、GitHub(ギットハブ)というコミュニティです。
GitHubはアメリカ西海岸発祥の今や世界最大級のプログラム共有サイトであり、
エンジニアのためのコミュニティです。
すでに開発者も1億人以上が利用、企業も数百万社が活用しており、
システムエンジニアやプログラマの仕事をされてきた方であれば、
使ったことはなくても名前だけでも聞いたことがあるなぁ、
のはずくらいに世界レベルで有名です。
世界中のエンジニアが開発したプログラム(コード)やデータを、
無償で一般公開している共有サイトであり、
優れたオープンソースが出てくる場としても世界中で利用されています。
運営母体は2018年にMicrosoftにより買収され移行しましたが、
ポリシーは従来からの中立性を維持しています。
「オクトキャット」と呼ばれる頭はネコ、下半身は5本足のタコというアイコンで知られています。
こちらは2015年にアメリカの支社として設立されたGitHub JapanのHPです。
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GitHub Japan | GitHub
GitHubはソフトウェア開発のプラットフォームです。GitHubには8000万件以上ものプロジェクトがホスティングされており、2700万人以上のユーザーがプロジェクトを探したり、フォークしたり、コン ...
github.co.jp
さて「紫式部インタビュー」のあらましについて述べます。
起業家でありスーパーエンジニアでもある中島聡さんが開発中のGraphAIというのがそれですが、
リンク先は本記事の末尾に掲載しています。
中島聡さんについて常々尊敬の念を抱かずにいられないのは、これからの時代のエンジニア育成だけではなく
ご自身が64歳(2024.5時点)の今でも「手を動かす」エンジニアであり続けている点です。
私自身もかつてはバリバリのエンジニア(ハードウェア・ソフトウェアとも)でしたが、
エンジニアとしての短い時代は日本固有の企業文化に押し流され
30代後半になると唐突に終わりを迎え、その後はマネジメント側を担当するようになりました。
よって情けなくもプログラミング言語についても大枠としての考え方は理解できても、
自分ではコードを書くスキルもすっかり無くなっていて、その点では過去の遺物でしかありません。
因みにアメリカ在住の中島聡さんは、6月には河野太郎大臣と面談されるようでして
そのときに提言される内容や会話も公開を楽しみにしています。
私が知っている中島さんの考え方に;
「税金で作ったソフトはオープンソースにしなければいけない」という法律を作るべき
というものがあり、大いに賛同しています。
これによって各省庁や自治体でいくつもの同じものを作る無駄がなくなり、
大手ITベンダーが自治体などの商談を独占的に左右している古い体質から脱却できます。
そもそも国民が納めた税金ですので、公平に対処するだけではなく、
ただでさえ欧米・中国などからどんどん遅れてきている技術の実態から、
ここで技術革新を真面目に考えないでどうする?
という視点からも中島さんの考え方に賛同しています。
紫式部インタビューAIツールのアウトプットの凄さ
おりしもNHK大河ドラマ「光る君へ」で注目を集めている平安時代。
せっかくなので、この時代の主人公とも言うべき人に着目してみましょう。
以下は、源氏物語の執筆に関して紫式部にインタビューした内容となります。
紫式部に限らず、名高い有名人であれば同様にAIがその有名人になりきって
インタビューに答えてくれるようなアプリです。
以下のインタビューは、中島聡さんの「週刊 Life is beautiful」より引用させていただきました。
要するに中島聡さんが自身で開発され、公開したコードを使って紫式部にインタビューしてみた、
という中身そのものを引用しています。
また私は中島聡さんが「AIの開発全般」についても超一流のエンジニアであることを
彼のアウトプットを通じて知っており、むしろこの分野でプロ中のプロと言っておかしくありません。
以下の紫式部インタビューをご覧になると一目瞭然ですが、
巷に出回るAIを知らないでフツーに作ったツールと比べると
そのレベル差が圧倒的であることもお分かりになると思います。
聞き方(プロンプト)も洗練されていて、紫式部の反応も
視点が高く繊細かつ絶妙であることが伺えます。
紫式部のコメントを見るに、
「このままパクって商売に使えないか、
普通に人がしゃべる次元を超えている。。。」
と思う人もきっと出てくるほどのものです。
こんにちは、紫式部様。この場にお迎えできることを光栄に思います。日本文学の偉大な作家として称賛されており、特に「源氏物語」で知られています。まずは執筆過程についてお伺いしたいのですが、「源氏物語」で平安時代の宮廷生活をこれほど詳細かつ緻密に描写するインスピレーションは何だったのでしょうか?
ご丁寧なお言葉をありがとうございます。あなたとお話しできることを光栄に思います。『源氏物語』を創作する際の私のインスピレーションは、私自身の体験と、仕えた彰子皇后のもとでの平安宮廷での観察から得たものです。宮廷は、複雑な社会的儀礼や政治的駆け引き、洗練された美学が交錯する世界であり、その本質を執筆の中で捉えたいと考えました。
また、私が学んだ中国古典文学や、日本の和歌や口承文学の伝統にも影響を受けました。私の目標は、単に楽しませるだけでなく、人間の感情や関係性、そして人生の儚さを繊細に探求する作品を創り上げることでした。登場人物たちの相互作用を通じて、愛や嫉妬、野心、そして時の流れといったテーマを掘り下げることができ、これらが世代を超えて読者の心に響くことを願っておりました。
平安時代の宮廷についての深い理解と、複雑な感情を物語に織り込む能力は本当に素晴らしいです。「源氏物語」は時の試練に耐え、今なお重要な文化的な象徴であり続けています。登場人物とその関係の複雑さを考えると、宮廷で出会った実在の人物をモデルにしたキャラクターもいるのでしょうか、それとも全て創作の産物なのでしょうか?
ご丁寧なご質問をありがとうございます。「源氏物語」の登場人物は、現実とフィクションが入り混じっています。平安時代の宮廷にいた特定の個人を直接的に描写したわけではありませんが、多くの登場人物は私が当時観察した人々や関係から着想を得ています。
たとえば、主人公の光源氏は、貴族の理想的な紳士像を体現しています。彼は美しく、才能に恵まれ、洗練されていますが、同時に欠点や脆さも持ち合わせており、それが彼をより人間らしく、共感しやすいキャラクターにしています。彼のキャラクターは、高位の男性たちのさまざまな特質を組み合わせたものです。
同様に、紫の上をはじめとする女性たちは、宮廷に仕える優雅で知的な女房や貴婦人たちからインスピレーションを受けています。彼女たちの物語や感情は、愛と義務がしばしば対立する宮廷生活の複雑さを反映しています。
これらの観察と私自身の想像力を組み合わせることで、平安宮廷生活の本質を捉えつつ、普遍的なテーマを探求する豊かなキャラクターと関係性のタペストリーを作り上げることを目指しました。
現実とフィクションを融合させ、時代を超えたキャラクターを創り上げたことに感銘を受けています。人間の本質を捉えるあなたの能力が、「源氏物語」が今なお魅力的である理由の一つです。人間の本質に関して言えば、あなたの作品は感情や人間関係の複雑さを深く掘り下げています。あなたが生きた時代の制約や期待を考慮しながら、これらの複雑な感情の風景をどのように描いたのか、お聞かせいただけますか?
平安時代の社会規範の中で、人間の感情と関係の複雑さについて書くことは、確かに繊細な仕事でした。平安時代は、特に貴族社会の中で、礼儀作法が厳格に守られる洗練された文化で特徴付けられていました。この課題に取り組む際に私が取ったいくつかのアプローチを紹介します。
1.微妙さとニュアンス: 時代が優美さと節制を重視していたことを考慮し、深い感情の真実を伝えるために微妙さとニュアンスを用いました。平安時代の宮廷生活では、多くのコミュニケーションが間接的で、詩や手紙、服装の選択や季節の言及を通じて表現されることがよくありました。これらの形式を使って、登場人物の内面を明らかにし、読者に彼らの真の感情や動機を推測させました。
2.内面の独白と反省: 登場人物の内面の考えや反省にしばしば深く入り込みました。彼らの私的な考えにアクセスを提供することで、外部の行動だけでは許容できないほど深く感情の風景を探ることができました。この内省的なアプローチによって、愛情、嫉妬、悲しみ、そして切望の複雑さを描写することができました。
3.象徴とイメージ: 自然や季節のイメージは『源氏物語』に深く織り込まれています。これらの要素は、しばしば登場人物の感情状態の隠喩として機能します。例えば、桜の儚い美しさは愛と生命の一時的な性質を象徴するかもしれません。このような象徴を使うことで、当時の美的嗜好と文化的な好みに従いつつ、深い感情を伝えることができました。
4.人間関係のダイナミクス: 物語の中の関係は多層的で、しばしば社会や政治的な意味合いで問題があります。登場人物同士の相互作用に焦点を当てることで、権力、忠誠心、社会的階層によって課せられる制約などのテーマを探求することができました。個人の欲望と社会の期待との緊張は、感情的な物語に深みを加える繰り返しのテーマです。
5.共感と観察: 私自身の宮廷での経験や観察が豊富な情報源となりました。周囲の人々に共感し、彼らの行動や相互作用に注意を払うことで、リアルで共感できるキャラクターやシナリオを作り出すことができました。
これらの要素のバランスを取ることで、平安宮廷の洗練されたけれども制限の多い世界に暮らす人々の心と思考に窓を開く、感情的で知的なレベルで共感できる物語を作り上げることができました。
いかがでしょうか。
高い知性をもち、繊細な心遣いも伺える『人間味』溢れた
紫式部が現代にタイムスリップしてまるで隣で話してくれているようです。
インタビューに答えてくれているのはAIなのか人なのか、
もはやこのインタビュー内容では境界線もあいまいに感じるほどです。
さてここが重要な点ですが、理解して欲しいのは
この紫式部インタビューの中身にあらず、なのです。
じゃぁ、なに?
というと、それは;
これだけの機能を持つコードがGitHubで公開されている点にあるのです。
つまりオープンソースとして無償公開されているため、
世界中にいる誰もがこのコードを改版できる可能性を秘めていること。
これこそがオープンソースに潜む本来の可能性と言えます。
つまり、さらに新しい上書き可能なツールをこれを使って提供できるということ。
このスパイラルがあっという間にツールを高機能化させる可能性をもち、
今後さらに新たな進化したツールにどんどんアップグレードされるという点にあるのです。
本記事投稿時点では、このツールは技術者向けに対応していて
一般の方が期待する簡単なUI(User Interface)も表には見えていませんが、
気の利いたエンジニアがそうしたいと思えばすぐにでもそうできるでしょう。
今、生成AIはテキストによるインプット、アウトプットから
マルチモーダル化をChatGPTを始めどれもが目指しています。
マルチモーダルとは、画像、音声、動画などを人間の五感と同様に
入力情報として扱えるイメージです。
そういったAIのすぐそこの未来においても、オープンソースで戦うほうが
クローズドでしこしこ限られた企業内で行うより、スピード感や
完成度なども有利だろうと予想しています。
クローズド(一企業や限定した組織内の総合力)vs オープン(世界中にいる知性の総合力)
という戦いがAIの世界でどうなっていくのか?という話です。
ただこういう話は理想論では済まず、さまざまな利害関係、かけひきなど
人間社会ならではの不合理や難しさが加わるためにどうなるかは読めません。
さてこの記事を書いてる途中に、イーロン・マスクのニュースが入ってきました。
自動運転を目指すEVで知られるTesla(テスラ)、SpaceX、スターリンクなどでも
有名な超富豪のイーロン・マスクが、5/23(現地時間)パリで
「ビバテック 2024」の基調講演にリモートで登壇したというニュース。
テスラを例にとると、AI投資は国内自動車メーカーの比ではありません。
鬼のようにAIに投資し続け、AIの可能性とリスクを最も知っている一人だと私は理解しています。
私が現在も関わっているAIシステム開発は、内容は守秘義務があり話せませんが
この自動車分野に関係しており、テスラがどれほどAIにやっきになっているかも
一般の方々より敏感な立場で情報収集しています。
因みに自動運転にはレベルが6段階あって、
自動運転タクシーと呼ばれるものでもまだレベル3でしかありません。
レベル0(自動運転なし)から、レベル1(運転支援)、レベル2(部分的自動運転)
と続いていきますが、国内外で普通の乗用車は頑張ってもせいぜいレベル2でとどまっています。
例えばホンダセンシングも日産プロパイロットもあくまで
運転支援システムであって自動運転で任せきりではありませんので
そういったところで勘違いして事故を起こさぬよう注意しましょう。
で、言うまでもないのは運転支援システム、自動運転も高度でリアルタイムな
AI処理が欠かせないということ。
イーロン・マスクが基調講演で語ったのは;
「AIは私たちの仕事をすべて奪うことになるが、それは必ずしも悪いことではない」
すでに多くの職をAIが奪い始めていることを聞きますが、イーロン・マスクは
AIがことごとく職を奪うことをハッキリと断言している。。。
この言葉を他ならぬイーロン・マスクが語ったというところに、
予見できない不確実な近未来を感じています。
紫式部インタビューのソースコード
最後になりますが、中島聡さんが公開しているGitHubでの
ソースコードはこちらになります。
多少でもプログラミングのスキルがある方は是非試してみてください!
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