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「AIに仕事を奪われた絵師」の話がスゴすぎる~目の前にある危機の見方

2024年7月23日

2022年に生成AI:ChatGPTが世に知られ、あっという間に
世界中に浸透することによって、今までは便利になるのはいいけど
自分の仕事には関係ないと思っていた方へじわじわとインパクトが生じています。

AIが自分の仕事にどんな影響を与えているか、
そのことによってどんな風に自分の仕事を考えるべきか

という現実を実に見事に表現しているnote記事を発見しました。
このnote記事をレビューしながも、AIというものの本質をこの機会にあらためて考えさせられました。

あるnote記事:「AIに仕事を奪われた絵師」な訳だが

私もAIの開発現場にいながらなかなかうまく表現できていないもどかしさがあって、
そのもどかしさを本当にうまく代弁してくれてるなぁと感じた秀逸な記事です。

人によってはお読みいただくと、
これは自分のことじゃないのか?
と非常に身近に感じられるかもしれません。

この記事です。
著者は「走り書き」さんでタイトルは、"「AIに仕事を奪われた絵師」な訳だが"
とても走り書きとは思えないほど、今と少し先までのAIを実にうまく表現してくれてます。

下矢印
必見!
「AIに仕事を奪われた絵師」な訳だが|走り書き
「AIに仕事を奪われた絵師」な訳だが|走り書き

「当然の時代の流れだった」と思っているという話。 最初に書いておくとこれはAIに反対する記事ではないので、規制を推奨する内容を期待して開いた人はブラウザバックをお勧めする。 あと推敲全然しないで思いつ ...

note.com

前記記事ではトップクラスではないイラストレーターである「走り書き」さんが
いかにこれまで生計を立てていて、それが生成AIの登場でどう変わったかを
生々しく丁寧に告白していて本当にわかりやすい記事です。

イラストレーターに限らず組織に属さないクリエイターと呼ばれる人たちの収入は、
これまでも一部のトップクラスのみがサラリーマン年収を超えて
ロングテールにあたる大半のクリエイターはそれだけで食べていくのは大変だと、
私もこれまでしょっちゅう耳にしてきました。

ただどこまでが本当なのかは当事者でないために今ひとつ理解の外にあったのも事実です。

この方の記事では、自ら「アマチュア底辺絵師」と定義のうえ過去1枚1万円くらいで
年収ベースでは160万円くらいだと書かれています。

ああ、なるほどなぁ~確かにそう言われるとそんなものだろうなぁと頷いてしまいます。
1枚1万円で平均すると2日で1枚くらいのペースになりますが、
営業活動込みなので年間通じて休みが無いように想像します。

この方の記事で妙に得心するのは、AIがどのようにどんな形で
人がやってきた仕事を奪っていくのか、生活者目線で書かれていて
とにかくリアリティが生々しく伝わる点です。

もうAIはトップ以外を総ざらいするほどコスパが高い

ところで私は社会人の出発点から20年近くは手を動かすコンピュータエンジニアでした。
私はコンピュータシステムのソフトウェアとハードウェア両方の開発経験があり、
今でもコンピュータテクノロジー全般を理解しているつもりです。

こいつは何者?と気になる場合は2024年7月更新していますので
KENBOのプロフィールをご覧になってください。

プログラムは当然ながら人間がゴリゴリと特定の開発言語(CやJavaとか様々)を使って
作られるものであって、マシンがプログラム作るなんていうのはあり得ない世界でした。
マシンがプログラムを書く、という発想はSFでしかありませんでした。

ところがChatGPTをはじめとする生成AIは(正しくはLLM=Large Language Modelは)
プログラムの生成をかなり器用に、高精度に行ってくれます。

この機能を積極的に活用する企業では、開発上のセキュリティの観点から
自社環境内のみで利用できるクローズドなChatGPTを構築し運用しています。
(もちろん有料版のLLMです)

国内でもパナソニックコネクトなどが先行して活用を開始しており、
今では特にセキュリティ面では厳しい制約が要求される自動車メーカーでも
自社環境でのクローズドな生成AIを堂々と使い始めています。

そうなるとどういう影響が出ているかを現場からお伝えすると;

詳細仕様を元にプログラムを書く(=コーディング)だけ

の仕事は、何年も経験のある年季の入った熟練者よりも
ChatGPTのほうがはるかに良いプログラムを書ける(ことが多い)
事実がだんだん
企業の中でも認知されるようになってきました。

つまり無駄なくミスの少ないプログラム書くなら、それは
人にやらせずAIにやらせろ、という見方が一部で広まりつつあるのです。

ただでさえ少子高齢化社会にある日本ですので、人手が足りないところを
AIが肩代わりしてくれるなら安いものだと経営者が思っても不思議でありません。

だったらAIに任せた方がいいじゃん!
と思われる領域が徐々に広がってきているのが実態です。

「プログラミングができます!」
「プログラミング言語もたくさん知っています!」
というだけでは、エンジニアとしてウリになる価値がどんどんしぼんできているのです。

先ほどの「走り書き」さんのnote記事内容を合わせて考えてみると、
AIが奪う仕事の領域イメージはこんな感じかなと。

つまり報酬が非常に高いごく一部の人の仕事に、AIは今のところ浸食できていません。

これは報酬が高いからという理由ではなく、報酬に見合うような
非常に高度で複雑な課題を解決でき、逆に今のAIレベルでは達成できないか、
達成できてもコスパ的にも見合わないためと解釈できます。

しかしトップレベル以外の平均的な人がやっている仕事の多くを、
AIがどんどんと占めるような傾向に繋がっているのが現実。

なんなんでしょうね、これは?
と毎日AIと付き合う立場でも、ああ止められないとしか言えません。

楽観的にも悲観的にもどちらにせよ、GoogleやMicrosoftを始めAIを牛耳ている
マグニフィセントセブンは一つ前の記事でも書きましたがマルチモーダル化を進め、
AGI(Artificial General Intelligence 人工汎用知能)の実現を目指しています。

AGIが出現すると、今まで報酬がめちゃめちゃ高い高度で複雑な仕事領域にも
AIが浸食してくる可能性はあり得ます。

ただAGIが現れる未来でも、人間と機械(AI)を分けるものは厳然とあるはずで、
その違いを説明できるのは物理、化学、医学などではなく哲学かもしれません。

思うにChatGPTの出現によって、今私が痛烈に感じるのは
人間とはなにか?
を私たちに問いかけているということです。

AIが生成AIを代表例として一般に知られるようになり、
その能力に驚く私たちは、じゃぁ自分たちは何をすればいいのか?
を鋭くAIに突き付けられているように思います。