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枯れないための唯一の処方箋~インプット=「最終学習歴」の更新

この記事は、一つ前の記事でご紹介した朝日新聞編集委員にして、
作家/百姓/猟師を自認する近藤康太郎さんの話の続編です。

一つ前の記事とは;

>> 沈むコンテンツ発信者を引き上げる宝本~近藤康太郎「三行で撃つ」と「ワーク・イズ・ライフ 宇宙一チャラい仕事論」

続編を書いた理由は、単純に
他人にも自分にももっとも役立つだろう、と思った
肝心かなめの話を書き忘れていたためです。

一つ前の記事では、
人はインプットなしにアウトプットだけでは誰でも枯れる
という私自身も肌で感じ、これまで周囲を見てもそうだとしか思えない事実を述べました。

私の知る限り、ネット上の販売者であれアフィリエイターであれ
ずっと残っている人には共通点があるように思います。

その共通点とは、
インプットを絶やさず自分を律する
ことができていること。

そのインプットとはなに?
どうすればいいの?
について近藤康太郎さんはちゃんと答えを用意してくれていました。

インプットとは結局「本を読む」こと。以上。

アウトプットだけでは枯れる、だからインプットしないとならない
ということはおそらく普通に受け入れられる話じゃないかと想像します。

ではインプットとはなに?

と聞かれると、人によって答えがまちまちでいきなりぼんやりしたものになります。

ここで近藤康太郎さんの言葉によって明確にしましょう。

インプットとは「勉強」のこと。

では「勉強」とはなにかというと「本を読むこと」

以上。
となります。

いかがでしょうか。
わかりやすいと私は思いますし、答にこれ以外は事実浮かばないです。

余談ですが、本を読むことについて思い出したことがあります。

かつてインフォトップより「インフォマスターズ」という稼ぎ系スクールが
松岡将吾さん塾長で開催されました。

松岡将吾さんとは個人事業主(+少数の仲間)ながら私が知った頃にすでに年間5億円を
稼ぎだすトッププロモーターであり、販売者でもありました。

インフォトップの担当者と代々木の本社で雑談しているときに
話題になり、もう何年も前のことながらその担当者含め
インフォトップではレジェンドと化していたのを覚えています。

松岡将吾さんと最初に会話したときの印象は鮮明に残っております。

そのとき、彼の質問は、
「最近どんな本を読みました?」

受けた衝撃は大きかったです。

これほどの若い人ながらどんな体験をしてきたのだろうか?
それと恐ろしく読書家であることは違いない。

という印象は、その後も会話を重ねても変わっておりません。
本を読むことを当たり前とみなしている姿に感銘を受けています。

逆に本を読まない人に成長はない、と見切っているようにも感じます。

コンテンツ発信者なら最重要課題=語彙を増やすこと

ところで本を読むってどういうメリットがあるのでしょうか。

話を前の記事でご紹介した近藤康太郎さんの「三行で撃つ」に戻します。

「三行で撃つ」は、少なくともコンテンツ発信者にとってほとんどの人にとって
覚醒を促すほどのノウハウ本です。

近藤康太郎さんはライターでもあり、その点であなたもネット上の発信者として活動するなら
どこかにライターとしての仕事が含まれるはずです。

「三行で撃つ」の中に、ライターの道具箱のくだりがあり、
その道具箱はスティーブン・キングも言っているように四段必要。
その四段に入れておくべきものがあって、それらは;

  • 一段目に語彙
  • 二段目に文体
  • 三段目に企画
  • 四段目にナラティブ

それぞれがなにかは「三行で撃つ」に譲るとして、
第一段目にある語彙が何より重要な点に着目しましょう。

コンテンツ発信者なら最初にして最後までつきまとう課題、それは
語彙を増やすこと
と喝破しています。

語彙の豊かな人ほど、アウトプットも畢竟(ひっきょう)、豊かになります。

キャッチコピーにしろ、本の書き出しにしろ、企画書や提案書にしろ、
最初の三行で読む人のけぞらせなければ無意味だと近藤さんは教えてくれます。

例えば夢枕獏さんの「陰陽師」は私の大好物ですが、ひとつひとつの小話の
最初の三行だけで、ああ安倍晴明の物語が始まるぞと気分が高まってきます。

「しんしんと、雪が降りてくる。
 天から降りてきた雪で庭は、一面、白い。
 優しい白であった。」

これだけで平安時代の安倍晴明の庭に連れてこられたような、
そんな情景が浮かんでくるのです。

ネット上で語彙を増やすなら、今ならChatGPTを使えばいいじゃん!
と考えるのは短絡的過ぎます。

思考の支援に使うのは大賛成なのですが、自分の思考を省略して
アウトプットをマシーン任せにしまうとその人はそこで終わり。

生成AIは「学習→推論」だけでアウトプットを並べているだけで、
少なくともそれはあなたの言葉ではありません。

そこには人が紡ぎ出せる熱量が存在しません。
あなたにも成長は一切ありません。
マシーンに言われたとおりにやってるだけなので、存在価値が無くなり
いずれ舞台から退場を余儀なくされるでしょう。

「三行」というのは簡単そうでそうではない、しかし
与えるインパクトは内容によって強烈です。

コメントは控えますが、最近の芸能人ニュースで
フワちゃんがピン芸人のやす子に発したXのメッセージ拡散で
大問題になったことをご存じかと思います。

そのメッセージはたかだか三行。
しかしとても大きな意味を世間に与えてしまいました。

翻って、私たちコンテンツ発信者はその「三行」を
苦心しながら「一発外すと次はない」
くらいの覚悟で生み出さないとこの世界では生きていません。

それにはなにはともあれ、自分の語彙を豊富にして
探すべき言葉を見つけ出せるようにすること。

そして語彙を増やすには、本を読むこと。
これに尽きるわけですが、近藤康太郎さんはそのために
厳しいが確実な方法論を教えてくれます。

必読書リストという外部プロデューサー

近藤さんは、必読書リストを作れと言われます。

でも年間100冊読むとか、そんなのではダメで変えたほうが良いと。
年間100冊読める時間があるということは、それは読みやすい本、
自分の頭に入ってくる本を読んでるからだと。

知っていることを読んだのではダメ
ということです。

ではなにを読めばいいのかというと「古典」
すでに亡くなった人の著書を含めて古典と定義しています。

私は近藤さんの2023年に出版の「百冊で耕す〈自由に、なる〉ための読書術
を知って、とりあえず自分の「知らない」3冊を必読書リストにしました。

  • 西田幾多郎 哲学論集
  • スピノザ「エチカ」
  • (古典じゃないけど)サイモン・シン ビッグバン宇宙論 (上)(下)

ビッグバンの話はAmazonで取り寄せましたが、西田幾多郎とスピノザについては
読み始めてすぐに止まったらもったいないと姑息な根性が出て、やったこととしては
図書館に何度か足を運びました。

この図書館に行ってまで探し読んでみる、というか読もうとする行動に
我ながら少しは進歩があったな、と自覚しています。

近藤康太郎さんはこう言っています。
至言だと思います。

必読書リストこそが外部プロデューサーです。
自分の知ってることを、年間100冊も読まない。
違う世界を知る。
自分とは違う、世界のとらえ方を学ぶ。

つまり、ベクトルを変えるんです。

最終学歴は無意味、「最終学習歴」こそ意味がある

私はどういうわけか、過去にはまったく無関係、知見もなかった
採用面接官、というわけのわからない仕事も請け負っています。
AIを含めて技術指導なんかをしている間に、人に頼まれるままに始めました。

請け負うというよりその企業の中の諸処の事情や求めることを細部まで
リアルタイムに把握しないと務まらないのでかなり苦労もしています。
ここで働く人たちと何度も会話しながら、求める人材像を描いていきます。

最初はまごつきましたが何年間もやっていると、どんな仕事でも
それなりに詳しくなってくるもので、さすがに今は面接の時間、
その人の人生に寄り添うつもりで落ち着いて接しております。

20歳前後のピキピキの新卒から、私と年代だけは同世代にあたる
大企業出身者の再就職面接まで、年齢差40歳くらいの幅の年齢層を相手にしております。

やっていて常々思うことは、最終学歴は中途面接であっても
単に「おまけ」程度、参考にしかならないという点です。

それよりも、新たな職場に向けて
今、どんな勉びをしているのか?

ということのほうがはるかに重要です。

面接官としては、その会社にどんな貢献をしてくれそうか?
を知りたいわけで過去の栄光がどんなものであれ関心ありません。

むしろ過去の栄光が大きいと、その成功体験やそこでの常識が邪魔します。
どんな人であれ、新たな職場で働くということはその職場の文化を理解し、そこになじみ、
周囲からも頼られ必要とされるかどうかだけなのです。

本人のパフォーマンスが発揮できるかどうかは学びについての返事を聞くだけで
向上心をもって取り組めそうか、も薄々わかってきます。

これは年齢は関係ないです。
若い世代のみならず、中高年世代こそが求められる資質は
いつまでも学び続けることができるかどうか。

歳を食ってもその気持ちと行動を止めないでいられるかどうか。

つまり最終学歴なんかどうでもよろしい、それより
最終学習歴は何年も前なのか、
それとも昨日なのか今日なのか、

そして
最終時点では何を学んでいるのか。
それが大事だということです。

というようなことを、元京都芸術大学副学長(現在客員教授)の本間正人さんが
ぴったりの説明をここでしてくれています。

人生100年時代は最終学歴より「最新学習歴」、自己ベスト更新が超重要な訳 よい大学に入れば幸せな一生が送れるは幻想 | 東洋経済education×ICT
人生100年時代は最終学歴より「最新学習歴」、自己ベスト更新が超重要な訳 よい大学に入れば幸せな一生が送れるは幻想 | 東洋経済education×ICT

「人生100年時代とよく言われるが、100年学習時代が当たり前の世の中を作っていきたい」。そう話すのは、元京都芸術大学副学長(現在客員教授)で、アクティブラーニング・コーチングの第一人者の本間正人氏。 ...

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