2020.2.12追記
まさかこういう形で追記するとは夢にも想像していませんでした。
2020年初頭から全世界を巻き込んでいる「新型コロナウイルス」
今起こっている危機により、どうしても1980年リリースの映画
「復活の日」を思い出さざるを得ません。
この映画で登場するウイルスは「MM88」と呼ばれています。
MM88は「エム・エム・エイト・エイト」と発音します。
世界は二度死んだ・・・
絶対にこうならないように人類は試されているかのようです。
それにしても小松左京が1964年に書き下ろしで発表した
このSF小説はいかに慧眼であったかを思い知らされます。
CGの無い時代にハリウッドを巻き込んだ本当の名作です。
一度この映画を観たら、今起こっていることが
SFで予言されたかのようにダブってしまうはずです。
この記事は・・・
古くて素敵な映画の話です。
ご興味ある方のみどうぞ。
(因みに私は小学生時代からの映画ファンです。)
フランシスコ・ローマ教皇の来日をテレビなどで見て
そして長崎・広島へ立ち寄られたニュースを見て
突然に連想した古い映画がありました。
4KのBlu-rayを戸棚にしまっていたのを思い出し
見始めたら・・・156分の長編を一気に最後まで。
2年ぶりに取り出して、一気に
公開時の映画館はもとより、その後DVDでも
数え切れないほど繰り返し見ました。
名作です。
日本映画の金字塔だとつくづく実感します。
昭和55年(1980年)に公開された
『復活の日(VIRUS)』
この映画のストーリーや感想などは
ネットでいくつも出てきますので
違った切り口で話したいと思います。
人類滅亡のシナリオとしてよく話題にのぼるもの
人類滅亡でちょくちょく話題になるシナリオですが
映画化されやすいテーマでもあるものに・・・
- 隕石や小惑星衝突
- 気候変動
- 地球外生物の侵略
- AIなどのテクノロジーによる侵略
- 核戦争
- バイオテクノロジー(ウイルス、遺伝子操作)の影響
隕石衝突は、恐竜全滅と同じパターンで、
直径数キロならば地表がはがれる地殻津波がまず発生し
その後地球規模での環境変化で人類滅亡というシナリオ。
映画ではアルマゲドンを連想します。
気候変動は、最近の台風や大雨などでも
非常に身近に感じます。
地球温暖化によって突然訪れた氷河期になる
デイ・アフター・トゥモローを思い出します。
地球外生物の侵略では、エイリアンや
インディペンデンスデイを連想。
AIなどのテクノロジーによる侵略で連想・・・
なんといってもターミネーターですね。
そして核戦争とウイルス・・・
この二つに関係するのが『復活の日』になります。
前述の他の映画と違うのは、CGが無い時代の映画、
でもだからこそリアリティが半端なく伝わってきます。
2017年12月、KADOKAWA初の4K Ultra HD Blu-ray
『復活の日』を私は公開された初日に観た覚えがあり
同時に体が震えたほど感動したことも覚えています。
MM88という細菌兵器によって世界中がパニックとなり
人類は南極に残す863人を除いて死滅します。
その後、地震により米ソの核ミサイル自動報復システムが
作動し、南極も含めてミサイルが飛び交うことになります。
映画で語られる言葉を使うなら
世界は二度死んだ
のです。
まぁ、ここまででネタバレしつつ書いているわけですが
40年前の映画であるので、どうってことはないでしょう。
で、大事なのはここです。
KADOKAWAは2017年12月、同社初の4K Ultra HD Blu-rayとして
『復活の日』をリリースしたのです。
なんで、これなの?
という方が多くいらっしゃるに違いありません。
そもそも1980年の公開映画です。
でも、『復活の日』を最初の記念すべき4KのBlu-rayにした
その理由を想像することができます。
『復活の日』がリメイク難しいワケ
この映画のストーリーそのものではなく、
作り手の立場に立って考えてみましょう。
小松左京原作のSF小説、深作欣二監督。
俳優陣は、主演の草刈正雄
多岐川裕美、千葉真一、渡瀬恒彦、夏八木勲、永島敏行、
緒形拳、小林稔侍・・・
ハリウッド側はオリヴィア・ハッセー、
ボー・スべンソン、グレン・フォード、ロバート・ボーン、ジョージ・ケネディ・・・
もう亡くなっている方が多いものの
オールジャパンとハリウッド大スター達の共演です。
草刈正雄さんは当時から、今も大活躍で知らない人はいないくらいでしょう。
オリヴィア・ハッセーといえば、1970年代~1980年代にかけて
洋画俳優を紹介していた二大雑誌「スクリーン」、「ロードショー」
にも毎月出て、当時の高校男子をドキドキさせていました。
布施明さんと結婚、離婚を通じても知られていますね。
で、これ何よりハリウッドの映画ではなく
純正の日本映画なのです。
VFX、CGは当然無い時代でした。
潜水艦は、チリ海軍からの借用らしいです。
友好国とはいえ、すごくないですか?
いやいや、何がすごいかというと
日本だけではなく、ハリウッドでも全盛期にあった
スターたちを集めて、世界中あちこち引きずりまわして
ロケをやってます。
誰が、どうやって集めたのか?
制作費は当時の日本映画としてはMAX規模の25億円で
興行収入はそれをうんと上回ったのですが、なんだかんだで
湯水のようにお金使ったということで赤字だったとの
話も後で聞いています。
それに潜水艦もです。
CGではなく、どうやってかわかりませんが
現物調達をしているのです。
誰が?
というその主役は、1970年代に社長になった
角川春樹さんであり、その執念があったからだと思います。
お金があるだけでまとまる話だとは到底思えません。
この映画を作ることに対して、鬼の執念が無い限り
不可能だと思うのです。
角川春樹さんは「映画製作を行うようになったのは『復活の日』がきっかけ」
と自らの著書でも話しています。
そしてこうも言っています。
この作品を作ることができれば、映画作りを辞めてもいいと。
それくらいの想いがありました。
今の時代、ハリウッドもしくは底なしのチャイナマネー
でVFX・CGを駆使するならともかく、
どう考えてもこれだけのスケールと完成度を持った
日本映画はそうそう作れるとは思えません。
本心では、これほど心を震わせてくれた映画を
最新技術を使ってリメイク版もあったらさらに面白いかも。。。
とひそかな希望もあるのですが、リメイクというのは
大抵の場合、最初の作品を超えることは困難です。
オリジナルを超える評価を得ることが
とてつもなくハードル高いです。
なんにせよ、ようやったな~!
よくこんなことができたな~角川春樹さん!
と手放しで褒めたいです。
原作(小説)も何度も読んでいますが
私にとって映像化して原作を凌駕している、
映画化したことで圧倒した感動を作ってくれたのは
日本映画ではこの小松左京原作『復活の日』と
松本清張原作の『砂の器』くらいです。
さて映画の完成度をこれ以上無いものにしている
重要な要素に、ジャニス・イアンが歌うあまりに
美しく切な過ぎるメロディがあるのです。
なぜ人類滅亡の話なのに、『復活』なのだろう?
そうですね、でも復活だからこそ観ている人の共感を得られます。
どん底に落ちて、いかなる希望も思いつかないときに
こんなときにこそ人は光を求めるものですね。
アメリカのシンガーソングライター、ジャニス・イアンの
ユー・アー・ラブ(You Are Love)が、登場人物たちの気持ちを表現し、
それが私たちの心をわしづかみにします。
ジャニス・イアン You Are Love
この名曲は、販売されている彼女のCDアルバムには
どこにもありません。
このメロディはどこかで聞いたことがある。。。
そうであっても、昔懐かしい残存するLPの中と
映画の中でしか聞けません。
(オリジナルサウンドトラック自体も滅多に目にすることもできません。)
と思っていたらYouTubeにはありました。
(いつまで掲載されているかわかりませんが)
四の五の言わず、見て聴いてもらえばと思います。
楽曲だけではなく、詩が美しい。
この方の訳もわかりやすいし、勇気をもらえます。
この映画を観たことのない若い人にもおススメしたい。
人生においてそうそう巡り合うことのできない作品です。
今、かつてない形で世界が混沌としています。
米中の覇権戦争はこれからも拡大していくでしょう。
世界を見たとき核軍縮はむしろ後退しています。
AIはこれまでの人の仕事をどんどん代替しています。
インフルエンザは毎年猛威を振るっています。
薬が効かないウイルスがどんどん増えています。
1980年の映画ながら、2020年を迎える今、
まさに起きている現実を眺めてみると
当時の冷戦時代よりもはるかに真実味をもって
迫り、問いかけているように感じました。
フランシスコ・ローマ教皇の祈りをテレビで見て、
この映画の存在を思い出させてくれました。
私たちの世界がもし、二度死んだら・・・
映画のように復活の日はありうるのでしょうか。
そんなことを考えさせてくれました。
復活の日は、Amazon Prime Videoでも視聴できます。
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手元に置きたいなら・・・
どうせなら4K Ultra HD Blu-rayです。
観たことある人もマジに圧倒されますよ。
(私にとっては宝物のひとつです。)
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