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パラリンピックの始まった週、都心に用事があり
そこそこ混雑状態の山手線に乗っておりました。
ふと、車両内でいくつも同じ内容の広告に目が留まりました。
サンマーク出版のビジネス小説とあり、そのタイトルがユニーク。
「もしも徳川家康が総理大臣になったら」(眞邊 明人著)
なんだろうな・・・と思いつつ
広告をよくよく見るとなんだかとても面白そうな話です。
気になって仕方がないのと、バッグにKindle端末もあって
勢いに乗ってそのKindle版を電車内で購入しました。
読み始めると・・・
これが予想をはるかに超えた面白さです。
止まらなくなり、用事を終えた後に410ページを一気読み。
この本、単純に面白いという評価では済まされません。
言葉を探さないと、この本の価値が伝えられません。
眞邊 明人さんは、1968年生まれの脚本家であり演出家です。
私の好きな作家「柴田錬三郎」のファンでもあると知って以来、
眞邊さんの思考力、洞察力、演出力すべてに驚きをもって
敬意を覚えておりました。
この本、漢字が読めるすべての日本人、
日本史に少しでも興味のある外国籍の方にもとにかく
黙って読んでくれ!と言いたいくらいにお勧めします。
若干ネタバレも含みますが、そんなことどうでもよいくらいに
「中身」が面白く、且つビジネスにも超絶に役立つ内容です。
ビジネス分野で「Amazon1位」を連続4ヶ月更新している
という触れ込みは伊達ではありませんでした。
コロナ禍にあえぐ「今」の日本が舞台
舞台は2020年、新型コロナウイルスによるパンデミックにより、
行き詰まった政府は「AI」によりその昔、傑出した人物を再生させ
(もちろん生身の人間ではなく、ホログラムに近い形です)
天皇陛下がAIによる徳川家康内閣総理大臣を任命・・・
というくだりで物語が始まります。
今私たちが現実に実感しているコロナ禍にある日本そのものが
この小説の舞台であって、人ごとと思えないリアリティに包まれます。
徳川家康ほか英雄だらけの新政権はもちろん架空の存在です。
しかし突拍子もなく生まれた架空の人物たちが
何かすごい才能を見せつけるのだろうな・・・・
という小説のシナリオでありがちな平凡な想像を
見事に打ち砕いてくれます。
映画アベンジャーズのように、超人たちがあり得ない能力を
発揮して戦いを挑むシナリオとはまるで違って、
大日本印刷、吉本興業を経た脚本家・演出家の眞邊明人さんの凄さです。
出口の見えない閉塞感、
政治への失望、
生活への不安、
コロナに対する恐怖、
・・・
本来なら東京オリンピック・パラリンピックで熱狂していたはずの
私たちが、無邪気に喜べない息苦しさ、圧迫感、無力感の中で
心の奥で望んでいたもの、あるべき姿というものを再発見できると思います。
この小説の面白さはまずそのシチュエーション設定にあると思います。
「コロナ」という言葉を聞かない日がない生活の中で、
コロナ対策に無関心の人はおそらくほとんどいないでしょう。
仮に無関心であっても、無縁の人はいないはず。
今、実感しているコロナ禍の中における私たちの生活を
そのまんま描き出しており、何が起こるのだろうかという
期待とともに誰もが一気にこの物語の当事者として
没入するに違いないと確信しています。
徳川家康内閣のメンバーは絶妙な配役
徳川家康政権の顔ぶれ、すべて英雄です(笑)
各大臣の顔ぶれ、その補佐役を含めて
読み進めるほどに納得感が増していきます。
私も日本史上の人物に詳しいわけではなく、
なんでこの人がここに?
と思っていましたが、それは無知からくるものでした。
ともあれ、以下はKindleを電車内で撮影したものですが
徳川政権を支えるAI人物たちが、すべて英雄であり
且つ多くが独裁者であることにもお気づきになると思います。
官房長官に、坂本龍馬。
これだけでもうワクワクしてきませんか?
何か尋常でない手綱さばきを見せてくれるに違いない、と。
はい、確かにその通りです!
なるほど官房長官という役職は、本来こうあるべきなのか
という新鮮な驚きとともに、なにより坂本龍馬ならではの
性格、手腕に人間としての魅力を感じます。
次に、財務大臣に豊臣秀吉。
経済産業大臣に織田信長。
コロナ禍にあって、何より重要な一つはその真っただ中にある
人々の生活であり、企業活動などいわば経済問題です。
あとまた触れますが、この稀代の英傑たちは言わずもがなの
独裁者であり、民主主義とは無縁の人たちです。
一方で現代社会は、当時と異なり形の上では
民主主義を謳歌し、私たち一般市民がお上の悪口を
言っても罰せられない自由があります。
現代日本において、エリートとしての独裁者が
個人のパフォーマンスを示したところでなかなか
受け入れられるものではありません。
現実を踏まえていかにリーダーシップを発揮するのか
というビジネスマンならずとも日々苦労する事案に対して
目の覚めるような発想と行動力、そして他者を納得させる力を
ひしひしと感じました。
もうひとつ、厚生労働大臣に徳川綱吉。
徳川5代将軍の徳川綱吉は、
「生類憐みの令」で有名ですね。
「天下の悪法」と評価されることが多く、
実は綱吉没後に、反対派の復活によって
意識的に悪者扱いされるようになったとのことです。
綱吉の本懐は経済にあって、その合理性含め
副大臣となる緒方洪庵とともに大活躍します。
そもそもの生まれた時代がバラバラで価値観も異なる英傑たちですが、
それだけではなくそれぞれの存在が、本来はお互いに許せない関係に
あるのも事実ながら、そこはAIによってプログラミングされており
個人的な愛憎関係はシャットアウトされています。
あくまで今の日本が抱えているコロナ禍、および
コロナで浮彫になってきた諸問題へ立ち向かい
解決するために作られた内閣です。
ごちゃごちゃグダグダでリーダーは何から始める
眞邊明人さんは、政治家のスピーチ指導や、
一部上場企業を中心に年間100本近くのビジネス研修、
組織改革プロジェクトに携わっているそうです。
その背景もあり、本書では
ミッションを成し遂げたいときに
重要な組織論に関わる話から始まります。
すなわち、体制作りです。
このことが極めて重要であることは
社会人であるあなたならお分かりいただけるはずです。
平たく言うと、
どんな役割を、誰が責任をもって行うのか?
ということですね。
そのためには、責任者の配下に
現場を進める実行部隊を配置して
そこにもまた組織としての活動があり
チームとしてミッションを遂行する
となるわけですが、どんな場合も「人」が要。
体制作りですが、悠長にやっている暇はなく
大胆に使える人材を抜擢し、任せなくては
組織は老朽化したままで成果を上げることができません。
ここには歴史上の英傑だけではなく、
2020年に生きる現代の官僚などとの関係も重要です。
また能力のある官僚を抜擢して、思い切った施策をとる
ということもリーダーの役目です。
徳川家康は「神」扱いとなる総元締めですが、
官房長官はじめ各大臣によるスピード感のある体制作りが
これまた胸のすくような思いで展開していきます。
戦国時代と異なる民主主義の縛りで「お願い」の仕方
何事を行うにしても、かつての英傑がほしいままにしていた
独裁では今の社会は回っていきません。
民主主義の日本では、コロナ対策で個人生活を縛るようなやり方は
歓迎されずどうしても「お願い」ベースになることを
私たちも日々痛感していますね。
本書で非常に興味深い部分が、大胆な施策を
独裁的に行うのではなくこの「お願い」を巧みに
利用しながら目的を果たそうとする点です。
その大胆な発想の切り口に驚きが走ります。
「お願い」のはずなのに、結果的には我も我もと
自ら進んで協力を惜しまない現代の日本人に
つい私たち自身を重ねてしまうほどです。
これこそ、今の日本に求めるリーダーであり、
考え方であり、やり方だと思ったのはきっと
私だけではないはずです。
本書が類書を抑えて、Amazon1位を独走している背景には、
コロナ禍で疲弊し、人々の心の奥で抱える不満、
形こそわからないでも渇望している期待、未来像なんかを
目の前の利害や小手先ではなくあるべき姿を目指し、
一方で泥臭く向き合っていく登場人物たちに
大きな共感を覚えるためだと理解しています。
では、具体的にどのように成し遂げるのか?
是非、ワクワク、ニヤニヤしながら読んでみてください。
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●PS
この本は確かに分類上ビジネス本になるかもしれません。
ただ、ひとつだけ付け加えておきますと・・・
この本で涙する人が多くいると聞き、それも頷けます。
グサッと鋭く心に刺さるものをきっとあなたも
見つける、いや感じるはずです。
それと・・・
実は「愛の物語」でもあることを付記しておきたいと思います。