ネットビジネスに出てくる「AI」の99%はウソ
以前から書こうと思ってた話なんですが
ようやく重い腰をあげてちょっとまとめてみました。
ここんところ、AIという言葉をしょっちゅう
聞くようになりました。
AIとはArtificial Intelligenceの略で
人工知能ですね、というかこんなの
あらためて言うまでもなく皆ご存じかと。
さて、今この記事をご覧いただいている方は
おそらくネット関連のビジネスに関心がおありだと
想定しながら書いてます。
(そもそも私のブログ全体がネットマーケティング
を中心にした話がメインなので)
最近は特にですけど、商品をアピールする
セールスページや、セールスメールなんかで
「AI」という単語を見ることが多くなったように思います。
なかでも・・・
「AIがあなたを稼がせる」
といった文脈での使われ方が多い。
もともとが世間的にはどちらかというと
胡散臭いと思われがちな情報商材において
輪をかけて臭くした言い回しです。
このような言い回しをみたら、
その実体はほぼ(99%以上)ウソだと
考えて間違いありません。
ウソというより、意味を何も知らずに
AIという単語が何となくすごそうなので
扇動のための材料に使っているだけだと思われます。
以下に述べる話は、ネットビジネスとは
実際のところ何の関係もありません。
ただAIという言葉に振り回されるリスクが
これから少しだけ減るかもしれません。
また現在企業などで、AIを開発するなどの部署にいて
その中でも先端の現場にいる人ほど
ピンとくる内容のはずです。
そういった現場にいる方から
「当たり前のこと言うな」
とお叱りを受けるかもしれない覚悟で書いています。
因みにAI技術は日々どんどん進化していて
この記事は2018年9月時点の投稿であり
ご覧いただいているタイミングによっては
恐ろしく過去の話になっているやもしれません。
今、第三次AIブームなんですが。
こう聞いて「えっ!?」と思われる方は多いと思います。
AIという概念や研究はずいぶん古くからあります。
ただ日常的にスマホでネットとつながっている私たち
普通人の感覚からすると、スマホが浸透してきた
ここ数年くらいの間にやたら「AI」という言葉を
よく聞くようになったというのが
正直なところではないでしょうか。
今は、第三次AIブームと言われても
なにそれ?
と思う方がほとんどのはずですが
その証拠を権威あるお役所に聞いてみましょう。
総務省の情報通信白書にある
「人工知能(AI)研究の歴史」
がなにぶんにも正確な記述かと。
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総務省|平成28年版 情報通信白書|人工知能(AI)研究の歴史
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第一次は1950年~60年代
第二次は1980年代
第三次が2000年代以降
で、第三次での重要なキーワードが
ディープラーニングです。
これもよく出てきますね。
漢字では、深層学習となりますが
何のことかよけいわかりにくいですね。
ディープラーニングはターミネーターを見るとわかる
映画ターミネーターを思い出してください。
ジェームズキャメロン監督、シュワルツェネッガー主演の
1作目のやつか2作目の「ターミネーター2」あたりが
最もわかりやすいです。
やはりエンディング部分が光っています。
「人間がなぜ泣くか分かった」
英語版字幕ですけど、4Kのリマスター版で
映像も音楽もキレイです。
ターミネーターは殲滅すべき敵かどうかを
相手をサーチしたらパターンマッチングなんかで
判別していますよね。
2作目のターミネーター2では、なにやら
人間性すら感じさせるような成長が伺えます。
あれはつまり・・・
「学習」を重ねて「推論」して
結果(行動)を導いているのですが。
ディープラーニングの非常に優れた見本が
実はターミネーターであると言っても
おかしくないと常々感じております。
しかもなぜそう感じるのかには
もうちょっと深い理由もあるのです。
昨今、AIというとそのAI機能は
いったいどこに存在していたかというと
ほとんどがクラウドにあったんですね。
というか、今ももちろんそれがメジャーです。
要するにネットワークのはるか向こうの
どこかに一生懸命、学習して推論する
とてつもなくすごいコンピュータがあって
それがAIの働きをしているという感覚です。
言い方を変えると、AIらしく振舞うためには
ネットを経由してクラウドにある頭脳に
お伺いを立てて、その結果を再びネット経由で
もらって動くという仕掛けです。
こんなふうにクラウド型なんですね
AIのこれまでの基本が。
しかも結果自体のレベルも一律じゃなく
出来不出来の差が激しいんです。
まぁそれは置いといて、
ただこのクラウド型って場合によっては
非常に不便なこと、致命的なことも出てきます。
インターネットを通じてやりとりしてるわけですから
それがWifiなんかだと常に通信が切れるリスクもあり、
仮にずっと繋がっていたとしても、
レスポンスの遅延という問題が出てきます。
工場で製造ロボットがいて、効率化のために
AIを使っているとしましょう。
どんどんモノを量産するとして
いちいちクラウドにお伺いを立てても
待てる時間は限られているはずなので
答が許容時間内に返って来ないと
工場のラインに大きな影響が出てきますね。
これは困る。
で、どうするかというと必要最小限のAI機能を
工場のラインの中に持たせるわけです。
レスポンスタイムにリスクのあるクラウドでなく
工場内のローカルな世界にAIをもってくるわけです。
そうするとタイムラグの心配なく
AIからのレスポンスを生産活動に反映できます。
こんなふうに、クラウドはクラウドで結構だけど
普段の大抵のことはこっちに任せてね、という
レベルのAI機能は、モノの中に閉じ込めてしまった
ほうが便利で使えるよねってなるわけです。
クラウドに対して、エッジと業界では呼んでますけど
エッジにAIをもってこようという動きも
じわじわ広がっています。
そして、そのあたりが何となくですけど
ターミネーター連想しちゃうわけです。
ターミネーターって基本自律してるじゃないですか。
どこかの指令を一挙一動に毎度受けて行動するわけじゃなく
自らの判断で暴れまくりますよね?
少なくとも映画ではそのように見えますよね?
後ろにスカイネットというAIの親玉がいるには
いるわけですが、ある程度自律的に行動しています。
ところでネットにつながるモノはIoT(Internet of Things)と呼ばれ
モノのインターネットですけど、要はそこらへんの
家電やら身体に身に付けるものなんかも
どんどんインターネットに繋がってるご時世です。
(もうとっくにそうなってますけど。
Amazonあたりが先端ですね。家電でちょっと料理の材料が
足りなくなったら自動で注文するような。)
そういったモノの中にも、チビ助となったAIが
ひっそりと仕事するというのが今の世相であり
これからもどんどん広がってくるはずです。
でもここにも出来不出来の差が激しくて
機器の中に内蔵されたチビ助AIにも
使い物になるものと、そうでないものが
混在しているのです。
つまりAIだから全て賢い、なんて
ことはないのですね、現状は。
今のAIが抱える深い悩みがこれ
今の第三次AI、つまりディープラーニングですけど
非常に多く使われている分野に「画像」があります。
画像をめちゃめちゃ集めてデータベースにしておき、
これを学習させ、例えばカメラがそのとき撮った写真に
ついてリアルタイムに推論させるわけです。
この画像は何なのか?
例えば信号機?歩行者?男性?赤ちゃん?犬?
とかを推論し答を出すのです。
ディープラーニングは、こういった入力を与えると
推論して結果を出すのですが、私たち人間にとっては
非常に気になるところなんですが大きな課題があるのです。
それは、導き出した結論について
「なぜ?」
がうまく言えないんです。
ディープラーニングのプロセスは完全に
ブラックボックスになってて、答の
「根拠」を言うことが(ほとんど)できない。
なぜそう言えるのか?
なぜその結論なのか?
これがとても苦手です。
苦手だけど、それなりにまともな答を出してくる、
だから実際使えてるわけですけど。
人間がやるよりはるかにましな答を
それなりの精度で瞬時に導き出せる
このことに大きな価値があるわけです。
しかしこれではやはり困ることがたくさんあります。
病院で手術したり、薬の処方を出すときに
AIを活用することで、より効率的なより効果的な
解を出せる可能性もあります。
ただ私が患者なら、AIが導き出した答を聞いて
「なぜこの薬なのでしょうか?」
と聞きたくもなります。
それを「AIが出した結論だから」
と説明する医療機関がいたら責任放棄みたいなもので
信用失墜になっておかしくありませんね。
ネットビジネスに戻って、例えば
FX関連商品にAIを使っているくらいの
うたい文句はどうでしょうか。
「AIがあなたを稼がせる」と言われて
うん、間違いない!
と決済ボタンを押す人はいるかもしれません。
ただ、大手銀行なんかが投資を提案する場合に
AIを使うというのもあるわけですけど
なぜその投資プランでいけるのか?
を理論だって根拠を含めて提案することは
簡単ではありません。
人間が信用するための根拠をうまく
提示できないからです。
(あくまで今のところは、ですが
これもすぐ解決されるでしょう。)
ということで、今のところは
まだまだ決定的なシーンで信用しきれないのがAI。
問題はブラックボックスになってるからです。
ブラックボックスではなくなり、キチンと
人に理解させて信用を得るにはどうしたらいいかが
残された大きな課題と言えます。
ただAIには人が考えもつかない答を見つけてくる
才能があるようで、結果良ければそれで良し
という分野も存在します。
新薬なんかの開発とかには絶対向いてそうですね。
無数とも言える組み合わせやテストを繰り返して
新薬なんかが世に出てくるわけですが
AIに手伝わせることによって、人間が行うより
早くより良い結果が出てくる可能性があります。
シンギュラリティ~あっという間にこの記事も古くなるわけ
以前に書いた記事ですけど、ソフトバンクの
孫社長がこれも何年も前に語られていた
シンギュラリティに関係した話がありました。
シンギュラリティが未来を考えるひとつの
よすがになりそうで、このAIの話を締めくくろうと思います。
「シンギュラリティ」とは、技術的特異点のこと。
もともとは、AIの世界的権威である
レイ・カーツワイル博士が2005年に
発表した話から始まりました。
日本で広く一般的に解釈されているのは
AIが人類の頭脳を追い越すポイント
ことのようです。
この図をご覧ください。
時間の経過とともに、技術進化が
どんな風に進むのか?を示しています。
ポイントはちょうど直線と指数曲線が重なった点です。
この点をシンギュラリティポイントと呼びます。
ただ例えばアルファ碁のような世界では人間は
もう追い越されていて既定事実になっているわけです。
それで何が技術的特異点なの?
となんだか煙に巻かれたようでわかりにくい。
私たちの身の回りのモノ、例えばスマホを例にしましょう。
スマホは、大昔のスーパーコンピューターの
性能以上のもので、それが手のひらに乗り
今ではほとんどの人が日常的に手放せない道具になっています。
スマホにもAIの使い、手先のような
サジェスト機能なんかが実装されていますが
たぶんこの手の進化はこれからすさまじいと予想されます。
今までは、何か技術的な進化があると
それは比較的ゆっくりしたスピードで
性能や機能改善などが進んでいうような
イメージでした。
つまり技術進化は直線的なもので
私たちの感覚も追いついていたと言えます。
少なくとも2000年代の頃まで。
ちょうど図で技術進化は直線でも
指数曲線でも横軸(時間)に対して
ゆっくり進化していってる感じです。
それがシンギュラリティポイントとなる
●印(直線と指数曲線の交点)を超えたら・・・
今のテクノロジーって、ちょうどその
●印近辺にいると思うわけです。
アルファ碁のように、すでにその時点を
超えてしまったものもあるはずです。
それで問題はここからです。
カーツワイルはこの特異点を超えていくと
テクノロジー進化の速度が倍々で増えていくと
予言しました。
これが指数関数的という意味でして
エクスポネンシャルという表現も
最近よく使われ始めています。
倍々ゲームで進化スピードが加速していくと
どうなるでしょうか。
赤い曲線が横軸に対してほぼ垂直になる
ことがおわかりいただけるでしょう。
こうなると進化スピードが「無限大」
になるという意味です。
ある技術的特異点、シンギュラリティポイントを
超えていくと、進歩は連続したものではなく
その連続性を断ち切るように進みます。
私たち人間の目にとって
それは「突然」進化するように見えるのです。
なんかおそろしい世界かもしれませんね。
あまり想像したくないです。
ということで、第三次AIブーム
ディープラーニングもひょっとすると
ある日突然に旧態依然のものに
なっているかもしれません。
昔々、あるところにディープラーニングという・・・
こういう話が突然に、まことしやかに
語られる日が近づいているような気がしています。
そうなった暁には、
「AIがあなたを稼がせる」という表現も
すでに常識どころか、古い常識という
ことになっているかもしれません。