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strategy 日記

ソーシャルメディアの第三層アプローチがSNS戦場を変える

ここのところ、吉本興業の話、お隣韓国との摩擦と
話題に事欠くことはありませんが、一連の状況を
ネット空間から見て気づいたことを書きたいと思います。

140文字戦争~SNSは何を変えたか?

デイヴィッド パトリカラコスというジャーナリストが書いた

「140文字の戦争」という本を読んで、
今まさに沸騰中の吉本興業や韓国とのさまざま問題といった
全然異なった話題の中でも共通した点を感じほんと、
ど真ん中に来ましたのでこれ書いてます。

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ソーシャルメディアって、もともと
「拡散」という武器によって
「人の繋がり」を求めることが出発点でした。

ところが本当にそのミッションを果たしているのか?

例えば吉本興業の話。

何が本当で何がウソなのかといった事実関係だけでなく
この話題によって私たちはどう判断しているのかも含めて
ネット情報の圧力はとてつもなく大きい。

そうなるといわば感情論が中心となり、
なんとなくその場の流れに押されて
きっとこうだよね、あの人がこう言うから
そうなのかもしれないとなりがちです。

人は理屈と感情が戦うと
必ず感情が勝つような生き物です。
その感情を正当化するために後から理屈つけます。

韓国とのさまざまな問題もしかりです。

立場の異なる、対立する意見がこれほどに
鮮明にそれぞれの国内で相手への非難で
盛り上がっているのは誰もが知っている通りです。

ここにも多かれ少なかれマスコミや力のある個人、
そして何より双方の政府関係者などの見解が入り乱れており、
どんどん状況は関係悪化に進んでいます。

ここにはTwitterだけではなく
Yahooニュースなど多くの拡散機能を持った
ソーシャルメディア機能を持つ媒体が一役買っています。

誰もがテレビだけでなく、むしろスマホやタブレット、PCで
刻々と変わる気になるニュースを追いかけている、
これが現代の私たちのライフスタイルになってきました。

ソーシャルメディアは「人の絆」を求めていたのにむしろ
絆を破壊して、社会を分断する機能のほうが強くなってきた
というのが私の実感です。

私は、ネット黎明期以前からコンピュータの設計技術者だったので
インターネットが突然に現れ、世界を変えていった途上を
ずっと観察することができた立場でした。

少し前にGAFAの意味から4話に記事をまとめていますので
ご興味ある方はこちらもご覧になってくださいね。

インターネットがもたらすもの(4)~コダック崩壊からあなたは何を気づく? - インフォレビュー(INFOREVIEW)
インターネットがもたらすもの(4)~コダック崩壊からあなたは何を気づく? - インフォレビュー(INFOREVIEW)

イーストマン・コダックが破綻した本当の原因を探り、そこから私からが学べるものを解説

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第三の層がソーシャルメディアの構造を変える

で、140文字ソーシャルメディアの話です。

先ほどの「140文字の戦争」には非常に興味深い
三層のアプローチという話が出てきます。

第一層、第二層と、これまでもともとあって、そこに新たに
加わる第三の層がこれから重要になるという展開です。

第一層とは、情報発信者の中で私たち普通の一般人のこと。
正確に言うと、プロではないアマチュア、素人の情報発信者のこと。

第二層とは、これと対比したプロの集団のことです。
テレビや新聞、雑誌など含めた既存のマスメディアのことです。
個人でも著名なジャーナリストは、こちらの第二層に属すと言ってよいでしょう。

この第一層と第二層で、ソーシャルメディアの情報発信は
成り立っていたのですね、少なくとも初期のころからしばらくは。

それで、第三層という新しい層がどこにあるかというと
第一層と第二層の間で、サンドイッチの中にいる
中間層だと思ってください。

先ほどの本の中では、この第三層のことを
「解釈者層(インタープリター)」と呼んでいます。

この中間層の役割はこのように定義されています。

この中間層を構成するジャーナリストは、
市民が生成した潜在的に重要なニュースのコンテンツを読み解き、
その真偽を検証するだけでなく、長期に渡ってそのニュースを追い、
たとえ主流の報道機関がその話題に一時的に関心を失った場合にも、
新しい展開を追い続ける。

 

さらに、インタープリターには三つの特徴があると言います。

この層に属するものは、主流のジャーナリストとも、
市民報告を生成して投稿する個人とも豊かな接点を持ち、
特に後者との接点を重視する。

第二に、彼らは特定の分野か話題を長期に渡って徹底的に追い、
主流の情報源が関心を失った際にも、その分野なり話題なりを追い続ける。

第三に、解釈者の仕事は積極的な協働なしには成り立たず、
双方向のウィキマップ、オープン・ニュースルームフォーラム、
そしてツイッターやフェイスブックのような一般的なソーシャルメディアなどの
ユーザー本位のオンラインツールを用いて協働する。

とまぁ、少し難しい表現のように見えますが

要するに第一層と第三層の間で独自の視点でもって
テーマを追い続け、解釈を発信し続ける役割を担う
・・・こういういうことでしょうね。

それで、何の意味があるかというと・・・

第一層または第三層、およびその両方からの発信で
感情に揺さぶられ過ぎずに、人々がうまく情報を読み解くための
インターネット空間を作りましょう、

そこがひとつのカギなんですよ、という提案です。

私もつくづく実感しています。
今の世の中、本当にインタープリターが足りないなぁと。

ソーシャルメディアをビジネスの道具として考えるならば
この第三層に積極的になってみる、という考え方は
この先本当に大きな存在価値になるかもしれませんね。