かれこれ10年ちょっと前になりますが、
「AIが今度こそ商売になりそうだぞ!」
と当時在籍していた会社で半信半疑ながらその会議に参加していました。
ちょうどディープラーニングが本気で研究から実用へ移行し始めた時代です。
それまで何度もAIブームなるものが湧いては消え、を繰り返していたので、
まだまだ遠い未来の話だし、あまり相手にしないほうがいいかも・・・
という程度で関わり始めたのですが、いざやってみると
問題だらけでこれが逆に面白くなり、以降は認識系(カメラやレーダーなどセンサーなど使って)
を中心にしてアルゴリズムも勉強しながら、複数のAIプロジェクトにどっぷりはまって今に至っています。
面白いので関わらざるを得ない、という子供のような好奇心だけで
いつのまにかこれもライフワークのひとつになっています。
「ChatGPT」が2022年の終わりころ世に公開されて以来、
当然ながらこの生成AIにも直後から「触りまくって」きました。
今後私がネット上で提供できるものには、AI業界の片隅で
地べたを這いずりながら理解できたことも積極的に軸に置くつもりです。
前置きが長くなりましたが、私にとって
ChatGPTが近い未来に具体的にどんな変化と影響をもたらすか?
はいつも頭の中にずっと離れずこびりついております。
きっとこうなるんじゃなかろうか?
と薄々個人的に思っていたことを起業家でありソフトウェアエンジニアでもある
中島聡さんがうまく説明してくれました!
この記事はそのエッセンスをとり上げています。
中島聡さんって「誰?」
ということで、簡単にご紹介します。
私が非常に尊敬しているソフトウェアエンジニアであり、会社経営者でもあります。
中島聡さんは、1960年生まれでNTT入社後にマイクロソフト日本法人設立を知り、
当時社長の古川亮さんへ直談判して転籍、Windows95の生みの親です。
現在はシアトル在住で、(日本人向けに)「エンジニアのための経営学講座」を中心とした
ゼミ形式の有料メルマガを発信されていることから知りました。
ウィキ(Wikipedia)にも詳しく経歴が載っている有名な方です。
この方は私の知っている中で、ChatGPTを始めとするAIについても
本物のプロ中のプロであると理解しています。
今ネットで「AI」「ChatGPT」を声高にウリにしている人の大半は
実はまったくの素人か素人同然だと言い切ってもおかしくないと思っています。
単に「ChatGPT」や「AI」という単語を使えば振り向いてくれるはず、
という意味でそうしているに過ぎないことが、分かる人はすぐに見抜きます。
表面をなぞっているか誰かの受け売りに過ぎない、ということが丸わかりですが、
それでもネット上ではその程度でも動かされる人が多いのが現実です。
ところで日本では普通、60歳を超えて自らコードを打ち込みながら
技術革新を実感し、その体験から得た内容を発信できる人は非常にまれです。
その点では中島さんはOpenAI(ChatGPTの提供元)の
API(Application Programming Interface)を読み込み、
試してみたいことを自ら体験し、その効果を発信されている方でして、
日本の経営者で同じことができる人はそうそういないでしょう。
つい最近も、一般の人が使えるにはまだ壁がありますが、
ソフトウェアエンジニアなら違和感ないと思われるオープンなプロトタイプを提供開始されました。
趣旨は、
OpenAIがGPT3.5/GPT4に追加した、function_call の仕組みが、
中島聡さんの「週刊 Life is beautiful」より引用
NLUI(Natural Language User Interface)を実現する上で、重要な役割を果たすという話。
その後、どんな場面でどのくらい有効に使えるかを調べるために、(先日オープンソース化したSlashGPTを活用して)さまざまなプロトタイプを作ってみたので、その結果を報告します。
今回、特に重視したのは、目標を達成するために、関連する関数を適切な順番に呼び出すことが出来るか、です。
で、そのプロトタイプとはこちらのGithub(*注)上にPython(パイソン)で作られています。
わかる方はちょっと覗いてみると、いわば宝の山のように感じられるかもしれません。
(*注)Githubとは、オンライン上でソースコードやその変更履歴を共有・管理できるサービス。
意味不明でなんのことかさっぱりわからない方は、中島聡さんとは;
還暦を過ぎてなお、技術革新の最前線に子供のような無邪気な関心を寄せて
ChatGPTの可能性を自ら実証している第一級のソフトエンジニアだとご理解ください。
-
GitHub - receptron/SlashGPT
Contribute to receptron/SlashGPT development by creating an account on GitHub.
github.com
中島さんのメッセージのうち、
NLUI(Natural Language User Interface=自然言語によるユーザインタフェース)
という概念こそが本記事でのキーワードです。
AIとの「会話」がNLUIへ
AIをアシスタントとして利用する考え方は、SiriやAlexaなどで
今に始まったわけではありませんが、できることはごくごく限られています。
一方、今のChatGPTの世界ではプロンプト(入力文)の作法などで
これがいい!あれがいい!という話題がもちきりながら、
基本は「キーボードを叩いて会話」しています。
このキーボード操作が、隣の友人に話しかけるように
口頭によるやりとり
が広まり置き換わるのではないか!?という予感がしています。
しかも口頭で伝えることで、AIがその意向を読み取り、
必要に応じて質問を返してくる。
この質問を返してくるところがまたなんとも気持ち良いです。
以前に、ChatGPTを活用した魔改造ファービーについて記事化しました。
あの時は面白いことを考える人がいるなぁ~くらいだったのですが、
今は将来性を感じさせる試みだと思いなおしています。
魔改造ファービーはこちらでご紹介しています。
-
ChatGPT~魔改造ファービーを見てルビコン川を渡ったと確信した日 - インフォレビュー(INFOREVIEW)
ネットでのビジネスと別に、この10年間は「AI」システム開発現場にずっと関わっていて、たまにAI業界専門の集まりなんか出ても、一般の人が知らないホットな話題で尽きることがありません。 さて昨年末から世
www.ifrv.net
人間は面倒なことが嫌いで、そのような人間の都合に合わせて
ChatGPTもこんな風に進化するのではないかという強い予感がします。
こうなればいいのになぁ~
とかつてカーナビシステムの開発に関わってたときも、
しかも今、利用者として普通に使っているカーナビでも常々思っていること。
例えば、
A地点からB地点へ向かう。
途中でC地点にもちょっと立ち寄りたい。
C地点まで首都高はいつもひやひやするので、ちょっと迂回した高速道か一般道をうまく混ぜて使ってもいい。
それでも渋滞はできるだけ避けたルートを選びたい。
C地点からB地点へは、一般道で広い道がいいけど渋滞はやはり避けたい。
そうだなぁ、B地点に行く前に、人気のある途中の道の駅もひとつ寄ってみたい。
なければおいしいお蕎麦さんに寄りたい。
出発は〇月〇日の午前〇時くらいを予定しているので、候補のルートを複数出して欲しい。
というようなことをキーボード叩いてルート候補を示すことは、
今のChatGPTで実現可能な範囲です。
これを、PCではなくカーナビに向かって話しかけるので
カーナビ画面と音声で瞬時に答えて欲しいのです。
ChatGPT機能を持つカーナビは、
「本日ご提案できるルートはこれとこれです。(中略)
また出発前に行先の天候や道路状況などを踏まえて最適な提案をします。」
とか答えてくれると嬉しい。
さらにそのルート選択のメリットや理由は?と聞くと、カーナビが
「このルートではこういうメリットがあって・・・」と具体的にポイントを教えてくれるような感じです。
さらに、「そのルートでのリスクはどんな感じ?」と聞くと、
「他のルートより15分程度の遠回りだけど、道幅の広いルートであり、
今日は交通量が少なく予想でき信号も少なく快適」
というような感じで答えて欲しい。
カーナビの画面でピコピコ設定を繰り返して、四苦八苦してルートを探すのではなく
口頭(Verbal)でやりたいことを簡単に伝えると
AIが忖度してくれる超ラクチンな世界です。
こういった話は決して荒唐無稽でもなく、
中島聡さんはすでにご自宅の家電で試しているそうです。
それも3年前には到底できなかったことが、1日で実現できたと。
あとはよろしく!
中島聡さんは、たった1日でご自宅の家電システムを
全部音声でコントロールするシステムを作ったとのことです。
それは、3年前だったら誰にもできなかったことが今や
たった1日あれば作れてしまうAIの進化の凄さを話されてました。
中島さんはスーパー・パワーを得たようだと感動してお話されてます。
そうできたのはまさにChatGPTのおかげ。
このような説明です。
「今日8時に帰るから、よろしく!」って言うと、
中島聡さんの「週刊 Life is beautiful」より引用
「『よろしく!』とは何ですか?」って言うから、
「お風呂に入るので、その時間に入れといて」って言うと、
ちゃんと通じて、8時にタイマーをセットしてくれる。
どうですか、すごい話だと思いませんか?
「よろしく!」を学習して、ご主人様のクセなどもマスターして、
まるで長く側にいる優秀な執事のように忖度して仕える存在。
それだけではなく、有能な秘書のように自分のわからないことも
適宜アドバイスしてくれる存在。
キーボードを叩かなくても、スマホでいちいち操作しなくても、
口頭でなんとなく尋ねると、しっかりとイイ感じの答にたどり着ける。
ズボラな性格の方にとって、どれほど魅力的でしょうか!
それだけではなく、障害や病気でキーボードが叩けない方にとっても朗報です。
普通に、何気なく、頼れる知人に口頭で話しかけるレベルで、
AIがあたかも家族のように自分の立場にたって答えてくれる世界。
ChatGPTが今後もたらす革新は、こういった自然言語によるやりとりが確立していくと、
車も家電も今ある生活から激変していく可能性がすぐそこに来ているように感じています。